最近修繕に出していたメインの楽器が約1年ぶりに帰還。

 

そしてそれとほぼ同じくして、入手した楽器。

 

更にメインの楽器がない間サブとして使っていた楽器。

 

 

AA Negro Liso 製造番号32280  輸出番号16838(1931年製)

 

 

AA 1/2 Mother of Pearls 製造番号32968  輸出番号17225(1931年製)

 

 

AA Full Mother of Pearls 製造番号33065  輸出番号17232(1931年製)

 

 

Alfred Arnold社製バンドネオンは製造時期を4期に分ける事ができる。その内、良質な楽器とされる戦前製モデルは3期までの楽器が相当する。上記3台はいずれも第2期のものでその最終の製造期にあたる1931年製にあたる。そしてこの時期製造されていた3つのモデル全てをコンプリートしている。(色違いの茶色のモデルを除く)

3/4 Mother of Pearls はこの後、第3期に新たに製造されたモデルと思われる。

 →確認したところ第2期でも3/4Mother of Pearlsは既に製造されているようです。

 

製造番号:36228

輸出番号:19531

→この楽器を見つけたことで、少し今まで調べ記載してきたものも少し変わってくることが分かりました。(2020/10/12追記)

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 製造番号:37817が製造第2期の最終Noのようです。1931年から第3期に入っており、製造番号:30000あたりで1930年頃だったと思いますので、たった2年間に満たない期間で、7000-8000台のバンドネオンが製造されていたことになりますね~1930年代が最盛期と言われる所以でしょうかね~手工芸品のこの楽器を2年に満たない期間で7000-8000台製造るってのは半端ないペースですね。

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この時期は、製造第2期から、戦前の最終第3期に向けて変化を遂げる上で、部分的に第2期、第3期のデザインやパーツが混合している珍しい数少ないタイプのモデルでもある。

 

例えば、側面の透かし彫りは2ndTypeと呼ばれる戦前後期のモデルに変更になっている。にもかかわらず、蛇腹は初期の物と変わりはない。そして、エアバルブレバーについてはこの時期のみにしかないタイプのものを採用されている。

 

 

 

 

とあるアルゼンチンの現役の修理工(Teller Garvan)曰く、以下のスタンプが押されたバンドネオンは良質なものが多いと発信している。この3つの楽器にはいずれもそのスタンプが押されており、楽器のプロからの発信であることから、この時期の楽器はかなり良質なものなのかもしれない。無論根拠などないのだが、数多くの楽器を見てきた修理工の方の経験(感覚)からくる情報として捉えておくとよいかもしれない。