教材の使い方について | 司法試験のあるきかた

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試験合格を運任せにしないための方法論を考える

何ヶ月ぶりのブログ記事更新かわからなくなってしまいました。

書くネタはストックしてあるのですが,なぜか書く時間を確保できません。すいません。

 

リクエストが多かったので,受験生時代に使っていた論証集,判例六法の写真を載せます。

写真と,説明と,最後に注意喚起というか,そういうのを書いておきます。

ちなみに,私が使っていた論証集はアガルートアカデミーの,総合講義論証集です(リンクは2018年版ですが,私が使用していたのは2015年版でした)。

 

論証集

 

民法

譲渡担保の問題を解いていて,処分清算型か帰属清算型かで処理が変わってくる問題を何度も間違えたので,清算の方法についてメモっています。

また,集合物の譲渡担保について,対象物の特定のために必要な「種類,所在場所,量的範囲」という要素を覚えるとっかかりを作るために,それぞれの頭文字を横にメモっています。

論証集では,「絶対に書きたい部分」について,黄色の蛍光ペンと,赤ペンのアンダーラインの両方を使っている感じです。上記論証なら,「当事者意思に基づいて,全体に一個の担保権が成立する。対象物については,種類,所在場所,量的範囲で特定する。」ということは最低限書こうというスタンスです。

 

商法

423の取締役が会社に対して負う責任は論文問題でもよく出てきますが,論点として出てくるというよりも,条文の適用問題として出てくることが多いと感じ,利益相反や競業避止義務違反のときは423条の2項や3項が使えたり,複数の取締役がいれば連帯責任になる条文(430条)を使える(にもかかわらず書き落とす)ことが多かったので,メモっています。

また,問題演習を繰り返す中で経営判断原則について迷いが生じ,基本書の該当部分や関連判例を見て「こういうことか」となることがあったので,そこについてもメモっています。経営判断原則の適用場面を頭に叩き込むために,アンダーラインを引いたりしています。

 

 

刑法

正当防衛の「防衛行為の相当性」について,基本書や出題趣旨などでは「防衛の手段として必要最小限度のものであること」と書かれているのを目にして,それだけでは腑に落ちなかったので,基本書の該当部分だけ参照して,「こんな書き方,考え方をしよう」というのを決め,メモっていました。

また,正当防衛がどういう場合に過剰防衛になるのかも勉強開始当初はよく分かっていなかったので,「正当防衛のうち相当性の要件をクリアできなかった時に過剰防衛になる」ということを頭に叩き込むために空きスペースにメモっています。

 

刑訴法

初回接見の書き方がふわっとしていたときに,「まずそもそも接見指定ができる場合じゃないといけない」とか「初回の場合には接見指定が弁護人の接見交通権を『不当に制限』したことになりやすい」とか,「初回接見の効果としてどういう義務を捜査機関が負うのか」とか,問題になる場面,条文の文言,要件,効果それぞれについて区別して押さえないといけないと感じたので,それらをメモっています。

ただ,最初から全部押さえようとしたわけではなく,とりあえず一回目は「初回接見の場合に捜査機関がどうしなくちゃいけないか」だけ押さえておいて,2回目は論証の理由付けの部分をざっくりと押さえて,みたいに押さえる箇所を分けて,少しずつできることを増やしていくという感覚でやっていました。

 

判例六法(択一対策)

 

自分が間違えやすい部分について,メモをしていました。

ただ,判例六法であれ論証集であれ,詳しくメモをしすぎると一周に掛かる時間が増えてしまい,却って勉強効率が下がる危険性があります。

なので,個人的には「メモしすぎた」という感想を論証集についても判例六法についても持っています。書き足すのはできれば一言,二言ぐらいにとどめておくのが良いと思います。

 

 

とりあえずここまで写真を上げておいてなんですが,この使い方に縛られないで下さい。

大事なのは,「私の教材の使い方」ではなく,「私がこんな風に教材を使ってどうなろうとしていたのか」という点です。

 

教材の使い方という「手段」の部分に目を奪われることなく,その先にある「目的」の部分に意識を持っていって,自分なりに教材を使い込んでいくのが良いです。手段に固執すると目的を見据えていた眼が曇ってしまいます。

 

…というのはNOAさんのブログエントリー「十年後の受験生へ」で指摘されていますので,完全に受け売りです(苦笑)

 

私の論証集などの画像をリクエストして下さった受験生の方々が見据えるべきは,目的地に辿り着くまでに利用する「手段」ではなく「目的地」そのものです。

手段に固執する理由は無いので論証集を使わずに趣旨規範ハンドブックを使ってもいいと思いますし,自作の論証集やまとめ教材を使ってもいいと思います。

 

大事なのは「現状不合格の自分と合格ラインの距離を縮めるための訓練」であって,その訓練の痕跡がこんな風に残っているんだな,ぐらいで↑の画像などを見て頂けたらと思います。