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皇太子殿下お誕生日に際し(平成27年)

会見年月日:平成27年2月20日

会見場所:東宮御所


問2 今年は戦後70年の節目の年です。戦争と平和への殿下のお考えをお聞かせください。先の大戦や戦没者慰霊については天皇,皇后両陛下からどのようにお聞きになり,愛子さまにはどう伝えられていますでしょうか。

皇太子殿下

先の大戦において日本を含む世界の各国で多くの尊い人命が失われ,多くの方々が苦しい,また,大変悲しい思いをされたことを大変痛ましく思います。 広島や長崎での原爆投下,東京を始め各都市での爆撃,沖縄における地上戦などで多くの方々が亡くなりました。亡くなられた方々のことを決して忘れず,多く の犠牲の上に今日の日本が築かれてきたことを心に刻み,戦争の惨禍を再び繰り返すことのないよう過去の歴史に対する認識を深め,平和を愛する心を育んでい くことが大切ではないかと思います。そしてより良い日本をつくる努力を続け,それを次の世代に引き継いでいくことが重要であると感じています。


両陛下には,これまで様々な機会に,戦争によって亡くなられた人々を慰霊し,平和を祈念されており,今年は,戦後70年に当たり,4月にパラオ国を ご訪問になります。戦後60年にはサイパン島をご訪問になりましたが,お心を込めて慰霊されるお姿に心を打たれました。また,両陛下には,今年戦後70年 を迎えることから,昨年には広島,長崎,沖縄で戦没者を慰霊なさいました。私は,子供の頃から,沖縄慰霊の日,広島や長崎への原爆投下の日,そして,終戦 記念日には両陛下とご一緒に黙とうをしており,その折に,原爆や戦争の痛ましさについてのお話を伺ってきました。また,毎年,沖縄の豆記者や本土から沖縄に派遣される豆記者の人たちと会う際に,沖縄の文化と共に,沖縄での地上戦の激しさについても伺ったことを記憶しています。


私自身もこれまで広島,長崎,沖縄を訪れ,多くの方々の苦難を心に刻んでまいりました。また,平成19年にモンゴルを訪問した際に,モンゴルで抑留中に亡くなられた方々の慰霊碑にお参りをし,シベリア抑留の辛苦に思いをはせました。


私自身,戦後生まれであり,戦争を体験しておりませんが,戦争の記憶が薄れようとしている今日,謙虚に過去を振り返るとともに,戦争を体験した世代 から戦争を知らない世代に,悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切であると考えています。両陛下からは,愛子も先の大戦につい て直接お話を聞かせていただいておりますし,私も両陛下から伺ったことや自分自身が知っていることについて愛子に話をしております。

我が国は,戦争の惨禍を経て,戦後,日本国憲法を基礎として築き上げられ,平和と繁栄を享受しています。戦後70年を迎える本年が,日本の発展の礎を築いた人々の労苦に深く思いを致し,平和の尊さを心に刻み,平和への思いを新たにする機会になればと思っています。

(引用終わり)


 この言葉に関して、池上彰氏は2/27朝日朝刊の『池上彰の新聞ななめ読み』で、「皇太子の憲法への言及なぜ伝えぬ」として、こう書く。


「いまの内閣は憲法解釈を変更したり憲法それ自体を変えようとしたりしています。この時点で敢えて憲法に言及されたことは意味を持ちます。いまの憲法は大事なものですと語っているからです」




 一方、NHKは、犠牲者言及、平和への思い(平和を心から願い世界各国との友好を確かなものとする事が大切、憲法(わが国は戦争の惨禍を経、戦後日本国憲法を基礎として築き、平和と繁栄を享受)などを削除して伝えた。


 また、読売、日経、産経の電子版は、(戦後の日本について)
『日本国憲法を基礎として築き上げられ、平和と繁栄を享受している』との発言部分を記事本文に含まず。


 これら日頃「天皇マンセー!」と言葉だけは言っているメディア各社はなかなか不敬だな。