BURRN!編集長『ビッグ・イン・ジャパンの時代』発売 | BIRKENHEAD ERKY

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最もCDが売れた90年代メタルバブルをBURRN!編集長が独自の視点で語り尽くす 書籍『ビッグ・イン・ジャパンの時代』発売

BURRN!

 

日本で最もCDが売れ、BURRN!の発行部数も過去最大規模となった90年代。HM/HRシーンにとって、それはどんな時代だったのか? 90年代メタル・バブルをBURRN!編集長が独自の視点で語り尽くす書籍『ビッグ・イン・ジャパンの時代』がシンコーミュージックから3月24日発売予定

 

■『ビッグ・イン・ジャパンの時代』
価格:¥1,980 (本体 1,800+税)
発売日:2022/03/24
サイズ:A5判
ページ数:304ページ
ISBN:978-4-401-65180-1

<予定内容>
最もCDが売れた90年代メタル・バブルをBURRN!編集長が独自の視点で語り尽くす!

日本で最もCDが売れ、BURRN!の発行部数も過去最大規模となった90年代。HM/HRシーンにとって、それはどんな時代だったのか……?
METALLICAやGUNS N’ ROSESがスタジアムを沸かせ、グランジ・ブームがシーンの地図を大きく塗り替えていったアメリカやヨーロッパ等の世界とは別に、ここ日本では全く独自の現象が巻き起こっていた。本国以上にここ日本でファンを獲得した“ビッグ・イン・ジャパン”と称されるアーティスト達の活躍である。イングヴェイ・マルムスティーン、MR.BIG、FAIR WARNING、ROYAL HUNT、HAREM SCAREM……彼らは何故そんなにも人気を得たのか?
毎月のように海外出張をして彼らに直撃取材を繰り返したBURRN!編集長だからこそ語れる“90年代メタル・バブルの真実”と“人気アーティスト達との貴重エピソード”をこの1冊に凝縮!

 

 

 
 
 
 

90年代、BURRN!が作り上げた“ビッグ・イン・ジャパン”路線が日本のメタル市場の主流に

 

 

90年代、BURRN!は海外の主流メタル/ラウドにはついていけず、

80年代的なもの(メロディアス、ポップ)を求める自分たちメロディ愛好家HM/HRファン好みのメロディックな無名のバンドを北欧やドイツ等から探し出して聴くという日本独自の路線を確立したことにより、

日本のメタル市場は、海外では無名のバンドが日本で人気といういわゆる“ビッグ・イン・ジャパン”の時代になりました。

 

以下はBURRN!編集長の言葉をそのまま掲載。

80年代に「HM/HRは売れる」と判ったレコード会社がそれにすがるという体制が日本では出来上がっていて、90年代に入っても“ヘヴィ・メタル”の捉え方が80年代から脱却することはなかったんですよね。

何故なら、当時の日本のリスナーの好みはあくまで80年代的なものだから。

日本のお客さんに雑誌を届けるのがBURRN!の役目だから、求められているのは、あくまで80年代的なもの。

BURRN!の中のメインストリームはあくまで80年代的なものだ、という捉え方は、読者も、レコード会社も変わらなかった。

レコード会社が求めたものはとにかくメロディックなもの。

日本のレコード会社は独自に日本人好みのメロディックなバンドと契約するようになり、

アメリカでリリースされないようなものが日本ではCDで発売されるという流れができていく。

それは、ジャーマン・メタルでもそうですね。

1990年デビューのGAMMA RAYがいきなり大人気となったのも日本独自の現象だし、HELLOWEENも1994年に再び盛り上がる。

 

BURRN!が最も売れたのは1997年。

日本の音楽業界は日本人向けのバンドを見つけてどんどん売っていった。

いわゆる“ビッグ・イン・ジャパン”ですね。

カナダのHAREM SCAREMであるとか、デンマークのROYAL HUNTは本国では人気が無くてもBURRN!では表紙になる。

ドイツのFAIR WANINGも本国では全然知られていないのに日本ではビッグ。

イギリスのTENも本国では全然知られていないだろうけど日本ではCDが売れるという・・・。

 

1999年あたりから、さすがに海外で日本人好みの音楽をやるバンドが少なくなってくる。

洋楽だから、海外からの供給が途絶えてきてしまうとやるものがなくなっていくんですよね。

アメリカでもある程度認めれていて日本でもビッグと思われているものっていうのがどんどん少なくなっていったのが90年代の終わりから2000年代に向かう時期ですね。

 

1997年にピークを迎えたBURRN!の90年代は、言い換えると「ビッグ・イン・ジャパンの時代」だった。

アメリカのシーンでビッグなものが日本では全然ビッグじゃない、という状態がそこにあって、商業誌としてのBURRN!はどこへ向かえばいいのかと考えた時、僕としては日本の音楽業界の方向と合わせるのが一番求められている方向性だと思っていたし、だからこそ部数が増えた。

そしてそのままの路線で2000年代に突入していく。

 

90年代は日本のリスナー向けのリリースが圧倒的に多かった。

それらは海外では存在しないも同然なアーティストたちなので日本のHM/HR市場はガラパゴス化が進む一方。

日本の音楽市場における日本人リスナー向けHM/HRがあまりにも膨れ上がって、それをやるだけで精一杯な部分があり、だからこそ、21世紀に入ってその“ガラパゴス・バブル”が弾けて供給が一挙にしぼんだ時、BURRN!の対応が難しくなったという、そういう時代でしたね。

言ってしまえば“終わりの始まり”。

 

 
 
 
 

BURRNの言う ビッグ・イン・ジャパンとは

 

80年代のヘビメタ・ブームは日本の場合、ハード&ヘヴィーな部分に惹かれてのブームではなく、ポップでキャッチーなメロディーに惹かれてのブームであったため、ポップ性の無いハード&ヘヴィーな次のグランジには行けず、日本のHM/HRメディアは欧米のメインストリームとは無関係に、ヘヴィーなロックよりもメロディアス・ポップなものを好む80年代メタル育ちの日本人の感性にあうジャーマン・メタルや北欧メタル、ネオクラ、様式美、メロハーなどの日本人HM/HRリスナー向けのメロディックHM/HRを世界中から発掘して、日本の市場だけで売ればいい・・・いわゆる「ビッグ・イン・ジャパン」を誕生させ、イングヴェイ・マルムスティーン、ROYAL HUNT、HAREM SCAREM、FAIR WARNING、DREAM THEATER などといった「ビッグ・イン・ジャパン」バンドを世界的な動向とは関係無しに探し出して紹介するという日本独自の供給を続けた。

 

代表的なビッグ・イン・ジャパンは、メロスピ/メロパワ

 

なにせ、メロスピ/メロパワはビッグ・イン・ジャパン・ジャンルですからね。

日本にいるとBURRNのせいでメロスピ/メロパワやネオクラが世界でも人気があるかのように錯覚してしまいますが、実際は、BURRN自身が書いている通り、これらは世界的にはマイナーなサブ・ジャンルです。

そして、これらを愛するBURRNの方向性をビッグ・イン・ジャパン路線と称しています。

別にマイナーであることが悪いわけではありませんが、ファンの人達はマイナー・ジャンルであるとはあまり認識していません。

 

BURRN!誌のピーク

 

 

BURRN!誌の売り上げのピークはヘビメタ・ブームだった80年代後半かと思いきや、実はビッグ・イン・ジャパンの時代だった90年代後半です。(正確には1997年)

 

80年代メタル(ヘア・メタル/ポップ・メタル)を聴いて育った今の50歳代前後の人達に、90年代のビッグ・イン・ジャパン(メロスピ/メロパワ/メロデス、メロハー、ネオクラ、様式美等)を聴いて育った今の40歳代前後の人達が加わった時代ですね。

 

しかし、世界の主流Metal/Hard Rockシーンとは関係なく80年代的価値観の無名のHM/HRを北欧やどっかから探し出して聴くというこの日本独自のビッグ・イン・ジャパン路線は世界から取り残されるだけの、どう考えても明らかにイケてない趣味でしたので、当然、今どきの若者達を取り組むことが出来ず、以降、日本人HM/HRファンはいつまでも80年代メタル育ちの人たち及び90年代ビッグ・イン・ジャパン育ちの人達がずっと中心のままになってしまい、日本ではHM/HRはティーン・エイジャーが引っ張る若者主導の音楽シーンではなくなっています。

 
 
 

BURRN!が道を誤ってしまった理由

 

 

1984年に創刊したBURRN!は80年代後半のヘビメタ・ブームと一心同体でした。

 

ブームだけあって、当時のファンというのは、ハードでメロディアスで華やかな音楽をやっているロング・ヘアで派手なヴィジュアルのHM/HRミュージシャンのファンという感じの人が中心で、そういう人たちがBURRN!の主な読者でした。

 

そのためBURRN!読者は当然、「ゴージャスなルックスのミュージシャンによるキラキラしたメロディアス音楽」とは違う90年代からの主流ハード&ヘヴィであるグランジ、ヘヴィ・ロック、ラウド・ロックにはついていけませんでしたので、BURRN!は世界の動向とは無関係に自分たちメロディ愛好家好みの無名のメロディックなバンドを北欧やドイツなどから探し出してくるという発掘路線の道を選びました。

 

それはすなわちメロスピ/メロパワ/メロデス、メロハー、ネオクラ、様式美、ゴシック・メタル、シンフォニック・メタル等のメロディック・メタルが中心という日本独自の特殊な路線でしたので(世界的には無名だがBURRN!の中では人気といういわゆる“ビッグ・イン・ジャパン”路線)、日本は世界の流れから分断され、海外の主流メタル・シーンから大きく取り残されてしまい、年配の人が中心のBURRN!読者の高齢化がどんどん進むばかりになっています。

 

上記の通り、BURRN!が道を誤ってしまった理由は、BURRN!読者が主にきらびやかなルックスのメロディアスHM/HRを愛する人たちだったがため、BURRN!はそのBURRN!読者のニーズ応える道を選んでしまったからです。

つまり、失敗の原因は80年代的価値観をしたBURRN!読者のニーズ応えることしか頭になかったこと。

HM/HRというものは時代と共に進化・発展・変化・変貌していくものなのですが、BURRN!は時代が変わってもいつまでも80年代的価値観に固執したままなのです。

そのためBURRN!読者は、80年代メタルを聴いて育った人と90年代のメロスピ/メロパワ等を聴いて育った人に固定されている感がありますので、必然的にBURRN!読者は高齢化が進んでいるのです。

 

 

 

要約

 

要するに、世界の主流ハード&ヘヴィ・シーンとは無関係に、

無名のメロスピ/メロパワ、メロハー、ネオクラ等を北欧やどっかから探し出して聴くという日本独自のビッグ・イン・ジャパン路線により世界から取り残されてしまった。

しかもこれらのメロメタはメロディ愛好家向けなのでハード&ヘヴィを嗜好する今どきの若者達を取り組むことが出来なかった。

そして、今もなおこのメロディ至上主義路線が続いたままなので、日本のメタル市場はガラパゴス化しており、日本人メタル・ファンは高齢化が進んでいる。

 

ただし、メロメタが悪いわけでも年配のファンが悪いわけでもなく、
悪いのは、「海外の主流ハード&ヘヴィ・シーンを扱わなかった」ということ。