三月は深き紅の淵を恩田陸「三月は深き紅の淵を」
著者:恩田陸(おんだ・りく)

価格:1890円(税込)
出版社:講談社
評価:★★★☆☆

粗筋:ある著者が自家出版して極限られた人たちに配り、しかし、すぐに回収されてしまった幻の本「三月は深き紅の淵を」。作者が奇妙なルールを付けた事からもその本は、本に携わるものたちの間で話題となる。様々な人たちがその本を巡って、或いは関わって繰り広げる四つのお話。

感想:「麦の海に沈む果実」を読んでいるのと読んでいないのでは大きく差が出る作品だと思う。この本に出てくる「三月は深き紅の淵を」は、「麦の海に沈む果実」とは違った作品みたいです。同じ表題の作品で、作者のルールも全部同じなのに、内容が少しずつ違ってて、結局どれが本物の「三月は深き紅の淵を」なのかが分からなかった。一つ一つの話が面白かったというよりは、結局「三月は深き紅の淵を」という本は一体何なのか?という事に重点を置いて読んでしまう。というか、もうその本の印象が強くて強くて作品の中に引き込まれてしまう感じ。でも結局その辺が明らかにされることはなかったので少し未消化。でも全体としてはかなり面白かったし、多分明らかにしてはいけない類の話題なんだろうなあと思います。でも気になる。そんな感じ。
ただ、「回転木馬」に少しずつ出てくるのは「麦の海に沈む果実」の登場人物と、その本のワンシーンでした。少しずつ違うんだけど。それが、「回転木馬」の主人公の書いた物語なのかそうじゃないのか、その辺も分からず混乱しそうに。
恩田さんの作品はいつもこんな感じです。

(装丁が京極夏彦だと知って吃驚しました。すっごい綺麗)