君も飛べるよ | 米国のにほんじん。

米国のにほんじん。

2004年に渡米。
米国の冷蔵庫の通称を持つひえひえのミネソタ州にひんやりと在住。
2 marriage, 3 kids, one full time job and 1 divorce laterの日々のことを、
つれづれなるままに日暮らしてきにメモ。

学生時代を演劇に費やしたせいか、単なる性格なのか、

日常を送る上で

『あ、ここがラストシーンならいい舞台になるな』

とか、

『ここでフェイドアウトしてスタッフロールが最高』などと考えることが

度々ある。


そしてそれはもちろん『ハッピーエンディング』でなくてはならない。

物語はハッピーエンドでなくてはなりませぬ。

現実世界はなかなか厳しいことが待ち受けてて

思い通りにならないことが多々ある。

それだからこそ物語はハッピーエンドでなければならない。

実際にはこう簡単に丸く収まるわけはないと分かってはいながら

分かっているからこそめでたしめでたしの物語は

私を魅了して止まない。


さて、本日は私の人生の映画の

ラストシーン候補に確実に

エントリーされる幸せな出来事がありました。


27歳の誕生日、昼は友達が家に遊びに来てくれて

手作り料理を囲んで和やかに過ごす。

友達の誕生日カードに付箋で見えない文章があり、

そこに

『ここは今日の夜開けてね!』と書いてあった。


夜からダウンタウンのレストランに夫バニーと

義ママ、かわいこちゃんの義妹と義弟と食事に出かけた。


おいしいワインと食事に酔ううち、バースデイケーキが

出てきてろうそくの火を吹き消した。


新しい家族からのプレゼントはスケッチブックとペンのセット。


そして夫バニーのカードを開けると中から紙切れがすべり落ちた。


『ピーターパン 6月29日 7時開演』


先日からダウンタウンで公演されている

ミュージカルのチケットだった。

日にちは本日。時間はこれからすぐである。


チケットを見た瞬間、嘘のように涙が溢れてしまった。


小さい頃アメリカの古いミュージカル映画を貪るように

繰り返し見た。

私が好きになったのは光ゲンジのかあ君でも

スマップのキムタクでもなく、

『雨に唄えば』のジーンケリー。


それをきっかけに舞台の世界に惹かれていった。

高校生のころは友達と劇団の役者さんのおっかけをしつつ

お小遣いを搾り出して月に3回は舞台を見に東京に出かけた。


自分は客席で舞台をただ見るのではなく、

いつか舞台を作る人になるんだと信じていた。


今も心のどこかでまだ舞台を追いかける自分がいる。

でもその声は小さく、なるべく聞かないように生活している。


そんな私を夫バニーは見ていた。

ピーターパンがダウンタウンで公演していることなんて

私達の間で話に上がっていなかった。

それなのに秘密でチケットを用意してくれていた。


不自然なほどに肩を震わせて泣く私を見て

義ママも義妹も一緒に泣いてしまった。


空を自由に飛びまわるピーターパンの舞台を見た帰りの車の中で

バニーが言った。


『君はアメリカに来たんだから遠慮せずに可能性を追いかけなくちゃだめだ。

舞台がやりたいなら舞台を。絵が描きたいなら絵を。

自分の思いを隠して生きるなんてしちゃだめだ』



27歳の今日はハッピーエンドのラストシーンなのか

波乱万丈の物語の始まりなのか。


どちらにしろ心強いパートナーがいつも自分を支えてくれることに

なりそうだ。


幸せな一日。