オマケ!H25年から使える!「給与所得者の特定支出控除の拡大」の解説 | 歌う税金教室  税理士冨永英里のオフィシャルブログ

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こんにちは、商工会議所、出版社・テレビなどメディアからオファーのある税理士ーの冨永英里です。


先日より、2014年税制改正大綱の解説をしていますが、
給与所得控除の改正で、「特定支出控除の拡大」についてここで解説をしたいと思います。

この改正はH25年分から使えますので、よかったらご一読くださいね。

(会話形式にしているため長文となります。興味のある方だけお読みください)

※記者 (30歳、大輔くんといいます)

記者
「今日は給与所得者の特定支出控除について教えてください」

エリ
「はい、わかりました。
今日は税制改正大綱ではないのですが、
せっかく給与所得控除についての話が出たので、
H25年から変わった給与所得者の特定支出について
ちょっとお話をするわね。
ところで前回からは、
そもそも給与所得控除とは何かから説明をしてきました。
このしくみがわからないと今日お話をする特定支出についても
何の話をしているのかわからなくなるので、復習はバッチリですか?」

記者
「はい、バッチリです!」

エリ
「もしもわからない、あるいはこのブログをはじめて読んだ方は、
こちらの前編後編をあわせてお読みくださいね。
はい、それでははじめます」

記者
「よろしくお願いします」

エリ
「ではまず給与所得控除とは、給与所得者の人にとって
どんな意味をもっていたのでしたっけ?」

記者
「給与所得控除は、給与所得者に認められた必要経費です」

エリ
「そうね、でもこの必要経費は個人事業主のように
自分で計算をするのでしたか?」

記者
「いいえ、これは法律でいくらの給与の人はいくらと
予め定まっているものであり、
自分で領収書を集めて計算はしません」

エリ
「そうでしたね、大輔くん、
ちゃんと覚えているわね、すごいわ」

記者
「はい、だからさっきバッチリって言ったじゃないですか!」

エリ
「それは失礼しました。
でね、今日お話をするのは、実は給与所得者にも実際に
かかった必要経費を認めてあげますよという制度があるというお話、
それが給与所得者の特定支出控除といわれているものなのです


記者
「ええっ~、そんな制度があるんですか?」

エリ
「そうなんです、この制度は、
給与所得者が自分で経費を計上できないのは不当だ
ということで裁判をしたことがきっかけでした。
裁判自体は負けてしまったのですが、
その後に、給与所得者の特定支出控除という制度が
昭和62年に作られました」


記者
「そうなんですか、そんな事実があったのですね」

エリ
「ところが条件があまりに厳しかったためか、
それを使う人がとても少なかったのです」

記者
「というと?」

エリ
「この特定支出控除、
日本中で使う人が年に数人しかいなかったんですよ」

記者
「えっ?日本で数人?」

エリ
「H19年で7人、H20年でたった6人」

記者
「ひえ~、それは少ないですね」

エリ
「利用者が少ないのには理由があります」

記者
「というと?」

エリ
「今までの制度は、
一言でいってとても使い勝手がよくなかったからです。
条件は、給与所得控除を超えるくらいの必要経費がでた場合。
でも実際に給与所得控除を超える部分の
実費を自腹をきる人が少なかったのが原因でしょうね。

記者
「具体例をとって教えてください」

エリ
「たとえば年収500万円の人の
給与所得控除は154万円、
月額にすると約13万円。
いったいどれくらいの年収500万円の人が
毎月13万円を自腹で使っているでしょうか?

記者
「う~ん、確かに。」

エリ
「そこで今回もう少しこの制度を使いやすいように改正をしました」

記者
「ではその改正のに内容について教えてください」

エリ
「はい、わかりました。
これはH25年分からの改正になります。
大きな改正点は2つです。
ひとつは、特定支出控除の範囲の拡大、
もうひとつは特定支出控除の計算方法の見直しです。」

記者
「ではひとつずつ教えてください」

エリ
「わかりました。
ではまず特定支出控除の範囲の拡大です。
今までは特定支出控除の範囲は、
「通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費」
といったものでしたが、
これらの範囲を広げています。
たとえば、資格取得費には、
改正前は弁護士・会計士・税理士などの資格取得費は
範囲外でしたが、改正後は認められるようになります。


記者
「なるほど。。。
弁護士とか会計士の資格をとるための費用って結構高いですよね。
受験している人にとってはこれは助かる制度ですね」

エリ
「そうですね、独立を考えるのではなく、
社内弁護士とか社内税理士として
活躍していきたいと思っている人にとっては朗報ですね」

記者
「僕はそういう資格めざしてないからな~、
他にはありますか?」

エリ
「書籍代や制服代、接待交際費なども職務に必要性があると認められる場合
にはこちらも特定支出控除の範囲に含まれることになりました」


こういう本も認められることになりますよ~♪(笑)






こういう接待も?(あ、でもデート代はだめですよ~(笑))



記者
「おお~。それは僕にも関係ありそうだ。
本代とか接待交際費などで会社に精算できないもの
とかも結構あります。僕も一度計算してみようかなあ」

エリ
「そうですね。
一度実際に領収書を計算してみるといいかもしれませんね。
但しこれらの経費を認めてもらうためには
勤務先が業務に直接必要であるということの
証明書が必要です。」


記者
「なるほど。。。
自分で勝手に計算するわけではないのですね」

エリ
「はい、そうです。
この点、みなさん勘違いをしないようにしてくださいね。
スーツや本代などすべてが経費になって
その分税金が安くなるというわけではないことに。
たいていこういう場合は、
すべての交際費や本代などは、
絶対に業務に必要なんだと
大きな声でいう人が必ず出てきます。
そうなるとキリがなくなるので
勤務先の証明書が必要だ
ということで一定のラインをもうけたわけなんです」

記者
「そうですよね、わかりました」

エリ
「特定支出控除の範囲はこれくらいにして、
もうひとつの改正のほうも重要ですよ」

記者
「はい、では次に。」

エリ
「今までは、特定支出の金額が
給与所得控除を超えたらという
条件つきでしたが、
改正後は、
特定支出の合計額が
給与所得控除の2分の1を超えたら
その超える部分を給与所得控除に加算する
ことができることになりました」


記者
「へえ~。今までの半分の金額で
使えることになったということなのですね?」

エリ
「はい、そうです!先の500万の人の例でいえば、月額で6,7万になります。」

記者
「これでこの制度を適用する人が増えるでしょうか?」

エリ
「そうですね。。。
今までのように、
年に数人の適用しかいないということはないと思いますが、
だからといってそんなに爆発的に増えるということもなく、
せいぜい適用者は数万人規模(給与所得者全体のうち 1%未満)
と予想する人もあるようです。」

ちなみに国税庁では、
平成25年分以後の所得税に適用される
給与所得者の特定支出の控除の特例の概要等について
について解説しています。

質疑応答集もありますので、興味がある人はそちらも
みておくといいでしょう。」