
税制改正大綱の解説をしています。
今日のテーマは、「交際費」です。

☆改正の内容
目的:現状の経済情勢については、
「三本の矢」の効果もあり着実に上向いている一方で、
景気回復の実感は中小企業や地域経済には
未だ十分浸透していないと指摘されている。
他の政策とあいまって、
企業の交際費に着目した消費活性化のための措置、
地域経済の活性化のための措置等を講ずる。
(1) 交際費等の損金不算入制度について、
次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
※損金とは税務上の経費というイミです。
① 交際費等の額のうち、
飲食のために支出する費用の額の50%を
損金の額に算入することとする。
(注)飲食のために支出する費用には、
専らその法人の役員、従業員等に対する接待等のために支出する費用
(いわゆる社内接待費)を含まない。
② 中小法人に係る損金算入の特例について、
上記①との選択適用とした上、
その適用期限を2年延長する。
以下は記者とエリとの会話です。
記者「今回の改正では、大企業にも交際費の損金算入が認められたとのことですが、その点を教えてください。」
エリ「わかりました。
交際費については、
会計上は、交際費も広告宣伝費や通信費・消耗品費など
他の経費と同じように売り上げを上げるために
必要な経費として計上します。
ところが、税務上は少しちがう取り扱いをしています。
交際費は、昭和29年に交際費の乱用を抑制しようとする政治的な動きがあり、
税金を計算する上で制限が設けられたのがはじまりです。
そして、中小企業にのみ、
一定の条件に基づいて損金算入が認められることになったのです」
記者「なるほど。。。そんな歴史的・政治的な背景があったのですね」
エリ「最近の傾向は交際費課税が
減税となるように向かっています。
そして昨年の税制改正ではアベノミクス政策のひとつとして、
中小企業(資本金が1億円以下の会社)は、
平成25年4月1日~平成26年3月31日までの間に開始する事業年度
において支出する交際費については、
定額控除限度額を800万(現行600万)に引き上げるとともに、
定額控除限度額までの金額を損金不算入措置(現行10%)
が廃止されたのです」
記者「そうそうそうでしたね。
今までは仮に300万円の交際費を使っても
必ず10%分は損金不算入だったのが、
定額控除までは全額OK
ということになったのは記憶に新しいところです。」
エリ「今回の改正では、
これをいよいよ大企業にまで拡大したということですね」
記者「なるほど・・・。」
エリ「景気も徐々に上向いてきているようですし、
今後はさほど気にしないで接待ができる
ということになるでしょうか~(#^.^#)」
記者「会社のお財布のひもも緩むといいなあ。
人間関係を作るには夜の接待ってやっぱり必要だなあと常々思っているので。。。。。
ちなみに、中小企業の場合も半分損金の制度は認められるんですよね。
従来の制度とはどうなりますか?」
エリ「はい、中小企業は既存の制度との選択適用となります。
ということは、
800万までの損金算入の制度と
交際費の50%損金算入の
有利な法を選択するということになります」
記者「ええっと、そうすると、有利不利のボーダーラインは1600万ですかね。」
エリ「そうね、1600万だと、
800万までの損金算入を適用すると、残りの800万が不算入。
50%損金でも1600万×50%で800万と同じになります」
記者「1600万を超えると、50%損金算入のほうが有利ということになりますね」
エリ「そうですね、
ただ、実際に中小企業で年間交際費がそれだけ実際に使えるくらいだと
ある意味頼もしいのかもしれませんね。。。」
いかがでしたか?
交際費も活発に使われるようになって、
飲食店の売り上げにも貢献でき、
自社の売上にも貢献できたら
アベノミクス政策もまずまずといったところでしょう。
参考までに税制改正大綱には、次のようなことも言っています。
こうした政策税制については、その政策効果
について事後的にしっかりと検証を行うなどによりその有効性や必要性について国
民の理解を得ることが重要である。
とも書いてあります、これからますます目が離せませんね!
