こんにちは!税理士の冨永英里です。
少し前から断捨離という言葉が流行っています。
日頃の整理整頓やお片付けこそ大事にしたいものです。
今日はそんなことに関連したお話です。
わたしが独立する前、会計事務所で修行していた頃の話です。
当時は、入ったばかりで担当もなく
事務所の所長の傍で
いろんな仕事を経験させていただいていました。
ある日、
クライアントのおひとりが急死してしまったということで
先生に同行してその方のお家へ行きました。
そこは自宅兼事務所、
ご夫婦と息子さんの3人で仕事をしていました。
亡くなったご主人は
事業承継や相続税対策などはこれから徐々に準備しようとしていたところだったようです。
(ということは、この時点で何もしていなかったのです)
奥様は、ご主人が急死したということでかなり動揺していました。
いかにも優しそうな息子さんがお母様をいたわっている姿が印象的でした。
奥様は、うちの所長が来て話をしているうちに少し安心したようです。
生前のご主人の様子など30分ばかり雑談をしたあと、
相続の事務手続きの話に入りました。
すると、奥様は
「実は、主人が何もかも自分で切り盛りしていたので私たちはどこに何があるか全くわからないのです。
仏壇の下の引き出しに重要なものが入っていると思います。
すべて先生にお任せしますので、全部見ていただけますか?」
うちの所長は、
「はい、わかりました。
奥様も息子さんもお疲れでしょうから、
むこうの部屋で休んでいていいですよ。
わからないことがあったら聞きますので」
と言って気遣いも忘れません。
そこからは所長とわたしの仕事がスタートしました。
預金通帳はもちろんのこと、
古い株券、
どこの鍵かわからない古ぼけた鍵など
タイムスリップしたかのような書類やモノがどんどん出てきました。
すると、
所長が
「ふっ」
と低い声をあげたのです。
私は、びっくりして
「先生、どうしたんですか?」
と聞きました。
すると、
先生は手にしていた書類をだまってわたしに見せるのです。
それは。。。。
過去の恥ずかしい書類
(息子さんのものでした、内容はブログにはちょっと書けないくらいの・・)
でした。
たぶん当時から20年以上も前のものだったのです。
私たちはイケナイものをみてしまったかのようなバツの悪さにとらわれました。
世の中の経営者の方には、
お金や税金のことはわからないから税理士に頼んでいる、
だから大丈夫だという方がいらっしゃいます。
確かに専門知識は専門家に任せるのが一番いい選択肢です。
でも決してやってはいけないこと、
それは・・・
「丸投げ」
です。
どんなに信頼をよせていても、人にはあまり知られたくない部分はあります。
今回のような場合はせめて引き出しの中を確認してお金に関係しないプライベートな資料はよけておくべきだったと思います。
その後、何事もなかったような表情で先生は相続の話をはじめましたが、私は息子さんの顔を見るたびにちょっと動揺していました。
ということで、
最近は相続の話がきたときには、クライアントの方に
「お見せいただく資料はあらかじめご確認されましたか?
たまに相続と関係のない書類が混ざっていることがありますので、
確認してよけておいてくださいね」
というようにしています。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
冨永英里