こんにちは、税理士の冨永英里です。
今日のテーマは
私の考える「愛」の定義
です
この話を知人にしたら、なかなか評判がよかったのでブログにてご紹介します。
できれば「共感」していただければもっと嬉しいです。
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私の所属する東京税理士会芝支部というところは、
確定申告の時期に税務署で開かれる確定申告会場にてお手伝いをします。
私も今年の確定申告の時期にお手伝いをさせていただきました。
そのときのことです。
ある初老の女性がわたしのところへやってきました。
現在、確定申告書の作成は
パソコンで行うことが主流となっています。
そのため、最近の指導は、確定申告の書き方や添付書類の確認をして、
パソコンで確定申告書を作成するコーナーに誘導することが多いのです。
ところが、その方は私の前に来るなり、
「パソコンはいやだ、手書きがいい」
とおっしゃるのです。
銀行のATMですら苦手な人達にとっては
パソコンコーナーに行きたくない、そんな気持ちもわからないではありません。
そこで私はこのように言いました。
「わかりました。ではここで手書きでやってみましょう。
パソコンは自動で集計作業を行ってくれますが、手書きだと自分で計算をしなければなりませんよ。
ここに電卓があるので、ご自分で計算してみてくださいね。
やり方は教えてさしあげます」
さっそく彼女が確定申告書を自分で計算できるように指導を始めました。
ところが。。。。。
彼女が電卓のボタンを押すスピード感のなさにびっくり!
わたしが電卓をたたいたほうが何倍も早いのです。
慣れない手つきで電卓を押すのが彼女自身も嫌だったのでしょう。
彼女もどうせなら、あなたがやってくれればいいのにという顔をしていました。
が、パソコンはいやだ、
自分で計算するのもいやだ。
それではおんぶに抱っこです。
彼女自身のためにもなりません。
途中何度もため息をつく彼女を励ましながら
一緒にすすめていきました。
そして何とか手書きの確定申告書ができあがりました。
私は最後に言いました。
「これをこのまま清書してもいいですが、ご自分の計算結果の検算のためにも
パソコンコーナーで確定申告書を作ってみたらどうですか?」
と。
手書きの確定申告書ができあがったことで彼女には達成感が生まれていました。
モチベーションは上々です(^^)/~~~
彼女は、嬉しそうに
「そうね、やってみるわ~」
そういって、パソコンコーナーのほうに歩いて行きました。
私は彼女が終わると次の納税者の方の指導に追われていました。
すると20分ほど経ったころでしょうか、
さきほどの彼女がわたしのところへやってきました。
「お陰様で申告書作成できました。こんなに丁寧に指導していただいたのは初めてです。
来年は、お手を煩わせることなく、最初からパソコンで作りたいと思います。
ご指導、ありがとうございました!」
さて、ここからがわたしの持論です。
実は私は、日頃
クライアントの社長さんに対しても
あえて電卓を持たせて計算をさせることがあります。
本当は私が計算した方が早いしかつ正確です。
社長さん自身も最初は
「なんだよ、プロがやったほうが早いのに~」って顔をします。
でもこれは
プロの私としての「愛ある指導方法」なのです。
というのも
社長さん自らが電卓で計算をすることにより
会社の数字が把握できるようになってくるのです。
数字アレルギーが消えていきます。
私の考える「愛」とは、
相手に愛して欲しい(この場合は、私に電卓で計算をして欲しい)というのではありません。
これは「愛」ではなく、相手に対する「依存」です。
「愛とは相手の成長を促すこと」
これが私の相手に対する「愛」です。
今回の話だとイマイチイメージがわかない人はよくこんな例え話を想像してみてください。
お腹が空いている人に
おにぎりをあげることはカンタン。
でも食べてしまったらまたすぐにお腹が空いてしまいます。
本当の愛情とは、お米の作り方お教えてあげることだと。
最初はちょっと時間がかかります。努力も必要です
(ときには作り方がうまくできなくて逆ギレされることもあるかもしれません)
でも、お米の作り方がわかるようになれば、
毎年ご飯を食べることができようになります。
もう一度言います
「愛とは相手の成長を促すこと」
ある場面だけを切り取ってみると
ちょっと厳しいな~と思われることもありますが、
幅を持ってみれば、それは本当の「愛」なのです。
さあ、社長さんも仕事の場面でこんな考え方を応用してみてはいかがでしょうか?
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
冨永英里