いけないいけない
さっきの記事より、こちらの方を先にしなくちゃいけなかった。
本文より
はじめに
初めて佐藤健を「おおおっ?」と意識したのは、多くのファンと同じく『仮面ライダー電王』の主演・野上良太郎役だった。取材で直に本人に接したことがあるとついつい応援目線で見てしまいがち。でも、『電王』は純粋にひとりの視聴者として先に作品を見た。
まだ、あどけなさを残す甘い顔立ち、ふわっとしつつも芯の強さを感じさせる佇まいがとても魅力的だった。そしてそれ以上に、5役をナチュラルに演じ分けるポテンシャルの高さに引きつけられた。
「デビュー二作目でこんな演技ができるなんて…」と驚き、ふと気づけば、2006年のデビュー作から今まで、すべての出演作を見ていた。
彼は役が変わるごとに新たな面を見せ、目覚ましい成長を遂げている。
中略
幅のある難役を軽々とこなし、毎回異なった顔を見せてくれる。
そんな俳優・佐藤健を表現しようと考えたとき、"多面体"という言葉が浮かんだ。カメレオンほど劇的に色を変えるわけではなく、自分らしさは残しつつも、役として確かにそこに存在している。
また、インタビューで接したときの柔らかな空気感と穏やかな口調、カメラマンの要求に応じるカンの良さと素直さも、独特のもの。これまで、いわゆる"イケメン"と呼ばれる若手の男優だけでも何百人も取材してきたが、佐藤健は特別だ。何が、どう特別なのか——。それを探りたいと思ったのが、この本を書くきっかけとなった。
熱心なファンの方にとっては周知のエピソードもあるかもしれないが、近くで接したことがありつつ、客観的な視点を保った立場から、俳優・佐藤健の"多面体"の魅力に迫ってみたい。