その馬は、芦毛だった。

一般の芦毛のイメージよりも、

はるかに白く、白毛馬というほうがふさわしかった。


ドレッサージュもショージャンピングも器用にこなし、

メーター(100CMの障害物)ぐらいなら速歩からでも飛べた。


特に難しい課題の馬場馬術で実力を発揮し、

弾発が強く感じられる歩様で、

弾けるように溌溂とした演技を見せてくれた。


まさに、爆発、白馬だったが、

倶楽部所有馬だったため、

未熟な会員によって心無い乗り方をされることも多く、

精神的に壊れていってしまった。


それでも、調子のいい時の演技は輝き続けていた。

だが「調子のいい時」自体がどんどん減っていった。


名前をフォルテと言う。その名の通り、強く美しい馬だった。

愛していた。元気でいて欲しい。



以上、実話です。