シュタイナーの言葉を大筋で捉えようとしてみれば、

現在身近に学べるスピリチュアルや霊性に関する知識と合致していて、

考え方としては馴染みやすく、大体理解できている話だと思える。

けれど、シュタイナーの言葉遣い(言葉の定義)が、私が聞いてきたものと

違い過ぎ、丁寧に読み込もうとすればするほどストレスがかかり、

シュタイナーから疎遠になっていたように思う。

 

それでも、何かに引かれるように高橋巌先生の人智学講義に参加したところ、

その進行や内容が常軌を逸していたために、ついハマってしまった。

このような講義は、今までに経験したことがない。

シュタイナーの言葉を読み、読み返し、読み返す。

次の講義を欠席し、次々回に参加すると、まだ同じところを読み返している。

謎は底を尽きない。

「高橋先生の教えとは、何なのか?」に取り憑かれた。

 

その高橋先生がご逝去されたことで、改めて先生のご著書を手に取った。

 

 

「シュタイナー教育入門」高橋巌

 

シュタイナーを学ぶなら、まずこちらを先に読んでおけばよかったのだ。

シュタイナーの言葉遣い、定義を噛み砕きながら説明されているのも親切で、

シュタイナーが展開してきた思想の概略を、歴背背景を紐解きながら、

現代日本との関連性の中で概説していく丁寧さが、初心者を路頭に迷わせない。

一冊の中に描き出されているものの範囲は広大であるにも関わらず、

守備一貫した一本道を、私の隣で高橋先生が語りかけるように、歩んで下さって

いるような本であった。

 

タイトルが「教育者が読むものか」と、読者を狭めているように思われるが、

「教育が全て自己教育であるとすれば」と書かれるように、私たちは

生涯をかけて教わる者であり、教える者でもあるのだから、この本は

「シュタイナーを学びたい人への入門書」であり、

「学ぶことを続ける大人達へのシュタイナー的指南書」であった。

 

 

シュタイナー没後より、100年が過ぎようとしている。

風の時代に突入した今、改めてシュタイナーを読む必要があるのかどうかは、

いまだに疑問が残る。

神秘学的な話を、初めてシュタイナーから学ぼうというのであれば良いが、

他の方々が遣う言葉と、同定義で語られない言葉に引っかかる度に、

シュタイナーを感性で読めず、頭での整理に時間がかかることを、

シュタイナーを理解する上での弊害に感じるのは私だけだろうか?

100年の間に先人達はさらに歩みを進めてくれており、霊性を高めるために

魂の学びを深めていくために、シュタイナーでなければならない点は、

私は今も見つけることが出来ていない。


ただ、スピリチュアル業界でよく言われる

「アセンション時代において、宇宙の中で地球人の役割は大きい」ことを、

次のような深みある言葉で的確に言い表したのが高橋巌先生であるということは、

玉石混交の中で光を放つ宝では無いだろうか?

 

 

「人間」の意味

 

 人間だけが地上で初めて、自分の内部に宇宙の森羅万象を映し出すことができるようになっただけではなく、その森羅万象に意味を与え、その意味をもとにして、自他ともに、より進化した方向へ発展させようとする意志を持った存在になったのです。

 (略)

 大宇宙の進化の全体がその意味を全うできるかできないかは、一見はかないように見えながら霊界と物質界とを仲介しうる唯一の存在者である人間の在り方にかかっているのです。

 同著P101より