●団塊リタイアの影響


 GWが終わり、目の色を変えはじめた人たちがいる。企業の採用担当者だ。


 来年(09年)春の採用戦線が、いよいよ本格化するからだ。何しろ4月1日時点で、早くも内々定をもらった学生が全体の3割近くに達しているから大変(毎日コミュニケーションズ調べ)。


「早くしないと優秀な人材を確保できなくなる」(金融)と採用担当者はおちおちしていられない様子だ。


 しかも大量採用する企業が続々で、主要企業の新卒採用者数は08年に比べ6%以上の伸びという統計もある。採用数ランキングは別表の通りだが、トップ20はすべて1000人以上の採用。中でもダントツは日本郵政グループだ。2位三井住友銀行の倍近く。


「今春も約4000人を採用しましたが、それ以上の人数になります。最大の理由は、団塊世代の大量退職です。とにかく新人を採らないと仕事が回らなくなる」(日本郵政関係者)


 トヨタも昨年(約1880人)以上に採用する予定。「環境やエネルギーなど次世代技術開発のためにも、安定した採用が必要だと思っています」(トヨタ関係者)


 トヨタをはじめ製造業では、団塊世代のリタイアが新卒採用に大きく影響しているのは確か。でも銀行は話がちょっと違う。「銀行は50歳過ぎで外(関連会社や取引先企業など)に出る人が多く、団塊世代の補充は終わっている」(40代の銀行マン)からだ。


 ではなぜ、これほど大量?


「保険の窓販が始まったり、とにかく人が必要。それに公的資金の返済が終わり積極採用できる態勢が整ったということです」(前出の銀行マン)


 みずほFGは「支店が約400カ所あります。各支店に総合職1人、一般職1人を配属するだけで800人必要ですからね」(関係者)という。



●「新人研修」に混乱も


 大量採用に思わぬ混乱も起きだした。「新人研修の場所が確保できない」(サービス業)の嘆きだ。


 新人研修ビジネスに積極的なJTB(神保町支店)によると「研修に使うホテルの宿泊や会議室の予約が、早くも2年先(2010年春)まで埋まりはじめた」らしい。来春ではなく来々春だ(念のため)。


 だが、いつまでも大量採用時代が続く保証はない。円高、原油高、素材高……サブプライム問題のボディーブローも効いてくる。主要企業の 09年3月期決算予想が7年ぶりに減益になる可能性も時事通信の集計で分かった。実際、業績悪化が懸念される不動産や住宅では、09年の採用数から減少さ せている企業も出ている。


 だからこそ採れるときに優秀な人材を確保したい。採用担当者による争奪戦は過熱する一方だ。



【09年採用予定人数トップ20】


1、日本郵政グループ(4590)


2、三井住友銀行(2400)


3、みずほFG(2350)


4、トヨタ自動車(2170)


5、日本生命(1700)


6、三菱重工(1600)


6、ヤマダ電機(1600)


8、三菱東京UFJ銀行(1500)


9、ホンダ(1470)


10、グッドウィルグループ(1415)


11、JR東日本(1360)


12、日立製作所(1250)


13、東芝(1200)


13、デンソー(1200)


15、スズキ(1170)


16、キヤノン(1140)


17、三菱電機(1130)


18、トランス・コスモス(1086)


19、JR西日本(1000)


19、レオパレス21(1000)



◆人気ランクと採用人数の関係は?


 09年の就職人気企業は、大量採用するのか。毎日コミュニケーションズが実施したアンケート結果によると、人気ナンバーワンはJTBグループ。09年採用人数は900人と、かなり多い。


 4位三菱東京UFJや6位みずほFG、7位三井住友、8位トヨタはいずれも、採用人数でもトップ10入りしている。人気企業は採用人数も大量だった。


 だが一方で、資生堂(09年採用予定105人)やベネッセ(同150人)、オリエンタルランド(未定だが08年実績は38人)は、かなり狭き門。


 ちなみに全日空は545人(地上職)、日本航空は340人を採用予定。



【就職人気トップ10(文系)】


1、JTBグループ


2、資生堂


3、全日空


4、三菱東京UFJ銀行


5、日本航空


6、みずほFG


7、三井住友銀行


8、トヨタ自動車


9、ベネッセ


10、オリエンタルランド


【2008年5月7日掲載】

日刊ゲンダイより