入院した当日のこれからの流れの説明では、こういう状態で入院した場合、ダメージの重さから、だいたい退院まで一週間から二週間かかると思います。 体の色んな数値が安定して、かつ自力で立つことが出来、お水が飲めて、ご飯が食べられるようになれば退院出来るんですけどね。そうなればお家で療養した方が治りは早いですから  と。

説明された時点で、       !!っえー、、、一週間、とか、二週間も...??  とビックリしたけど、
帰って色々調べて落ち着いたら、改めてあの発作がどれ位のものだったのか、重さを感じた。






私が泣いたのは入院した次の日の朝。

診療時間内ならいつでも、何時間でも会いにきてもいいというシステムで、だからもちろん毎日面会へ行こうと思っていた。 先生たちの邪魔にならぬよう、なるべく患者さんの少ない時間帯を考えて、朝イチで面会に行こう。

用意して家を出る前、トイレに入ったらもう、涙が勝手に出てきて、、嗚咽も止まらない。

子供たちに聞こえてるかもしれないけど、もういいや。 泣きたいだけ泣いてしまおう。

後悔ばかり。

発作の前日、元々トリミングをキッカケにお尻周りを傷になるまで舐めていて、動けばキャンキャンとお尻を終始気にして、数日ご飯も食べてないような状態のモカを2,3時間独りにしたこと。

帰ってきた時、明らかにフラフラと歩いてきて、どうしたの? そんなにフラフラして、モカどうしたの? と言いながら、それでも玄関は狭いから、「だめだめ!戻って!」と言ったんだけど、いつもみたいには戻らなかった。サンダルを脱ごうとしている私の目の前にちょこんと座って、抱っこして と言わんばかりの顔でジィっと私を見つめた。  そのいつもと違う仕草も、フラフラと歩いたのも、お尻周りを気にして数日ご飯も食べてないし、10歳だからって疲れてたんじゃなくて、、

あれは発作を起こす前兆だったんだよね。
 
なんでもっと気にかけてあげなかったんだろう。

 空白の時間に独り部屋で暴れ回ったのかも知れない、、


なんであんな時に独りにしたんだろう。



10分くらい泣いたかな、。
意外と10分で済んだ。 

だって、泣いてるより、早く様子を見に行かなくちゃ。


兄ちゃんに色々と事付けをして、下の子を頼んだ。
下の子は自分もモカに会いに行くって、しつこくうるさかったけど笑い泣き...今はいつものそれ、ちょっと勘弁して。







自転車を立ち漕ぎしてサーーーーっと足早に。



「おはようございます、モカは、どうでしょう??」

受付のすぐ隣のドアをスライドすると、目の前に大きめのケージが。
ケージいっぱいにシートが敷かれていて、モカはおむつをしていた。
モカ!と顔を近づけると、モカも なに?だれ? という感じで近づいて少し鼻をクンクンと動かしたところで私に気が付いた。

尻尾を振りながら不安げのような、驚いたような、そんな表情で少しだけ私の顔を見て、ケージから出て直ぐに膝の上に乗っかってうずくまった。

後遺症で私のこと忘れてたらどうしよう とか、
昨日の帰りみたいに唸られたらショックかも と思ってたけど、 分かるんだ、膝の上に乗って少しは安心なんだ、って思うと可哀想で泣きそうになった。





血液検査。
血糖値が低い。
アルブミンが低い。
炎症反応アリ。
MCV(平均赤血球容積)低い。


う~ん、、聞いてもサッパリ。。


先生が言うには、発作の影響とは別に蛋白が低く、この低さは発作に寄ってここまで低くなる事はないから、もしかしたら蛋白がどこからか漏れてるかもしれない、と。

レントゲンには内臓に何も異常は写っていなくて、ただ背中に白い線が写ってるんだけど、これは普通は写らない、と。
蛋白が漏れだしていて、アルブミンが低いのは関係していて、この症状によって背中に写った白い線は浮腫かもしれない、と。

痙攣した時、モカのマズルが腫れてる?気がして、発作を治めないと!って時に先生に言ったんだけど、その時はそれどころじゃないからスルーで、。笑   
ここへきて「かおが腫れてる気がするって言ってましたよね?たぶん、顔も浮腫んでる状態だったのかもしれない」と、発作を起こした原因とは別に、違う病気もある可能性が発覚。

そして、レントゲンではあそこまでの発作を起こすような異常は見当たらないから、
やっぱり脳だと思う と。
何にせよ、回復してからMRIを撮らないと分からない と。

こわい、。
どんな腫瘍がどんな所に出来てるとか、、分かるのもこわい、、。


先生は知識も薄く若干テンパって把握の悪い私に丁寧に分かりやすいように説明してくれた。

あそこまでの発作を起こした場合は、これからてんかん薬を飲んでいかなけらばいけないこと、てんかん薬は抑えるためであって、飲んでいても発作を起こす時は起こす事、。

全身麻酔のリスクはあるものの、MRIを撮ればこれからの対処が分かること。
もし腫瘍だった場合、手術で取れないものもあり、取れるものもあるけど、もし取れるものだとしても10歳のモカには手術自体が体への負担、リスクが大きいこと。










色んな説明を聞いたあと、40分くらい抱っこして撫でた。
看護師さんに、こうして会いに来て、帰る時にまた不安な思いをさせて、、モカ的には会いに来ない方がいいんですかね、、影からバレないように様子見るだけとかにした方がいいのかな、、。
と聞いてみた。
すると、...それ、よく聞かれるんですよねー...。んー、、私個人としては、少しの間でも安心しているし、また会いに来てくれるかもしれない と本人は期待が出来ると思うから、ここにずーっと何も分からないまま過ごすより、会いに来た方が良いと思いますよ(^^) と。

そっか、そうだよね、、、
分かりやすいように毎日決まって朝、会いに来よう。

そう思った。







患者さんもだんだん増えてきて、忙しそうな合間に先生や、看護師さんと軽く話す。

モカは安心したように膝で休んで離れないけど、先生たちも忙しい。そろそろバイバイしないと。


離れようとしないモカを少し無理にケージに戻して、出てこようとするのを両手で抑えてケージを閉めた。
なんで? なに? バイバイなの? まるで飼い主が買い物するのに店の外で繋がれて待たされる犬のように、。

「また来るからね!」「はは(^^)!大丈夫だよ、また明日くるから!」と何度か、なるべく明るく言った。それでもケージに飛びかかって手でカチカチしてるモカを看護師さんも両手で抑えて「大丈夫ね、解るね、」とモカに、私に「大丈夫ですよ!」と言ってくれたところでケージの前のドアを閉めた。
もしかしたらだけど、その時のバイバイはモカと私両者の気持ちを第三者の目で見た看護師さんにも少し心が痛んだように見えた。






帰り道、私を見て嬉しそうなものの疲れた様子と、体調は最悪そうなモカを思い出しながら、
これから先の色々な不安で、涙を堪えながら家までゆっくり自転車を漕いだ。