こんにちは、京都の大学生ヤンヤンです。
今日は読んで感銘を受けた漫画について書きたいと思います。
タイトルにもあるように、それは落合尚之さんの「罪と罰」
全10巻でしたが、あっという間に読み終わりました。
皆さんご存知のドストエフスキーの小説を、現代風、または落合さん風にリメイク(?)した作品
具体的には時代設定や主人公の性格、家族構成などが原作とは違うそうです。
ちなみに私は原作は読んでいません…
(登場人物の名前がどうも覚えられなくて途中で断念しました…)
そういうこともあって、漫画なら読めるかな、と思って読み始めたのですが、やはり原作が小説ということもあってかとても文学的な漫画で読み応えがあり、面白い作品でした。
それでは以下感想です。(ネタバレはしません!
まず全体は、総じて緊張感と重々しさに溢れています。(笑)
まずテーマが重いので仕方ないです。
グロテスクなシーン、表現も多少ありますが、絵が綺麗だったのであまり得意でない私でも平気でした。
本作の主人公はまさにダメエリートです。
有名大に入るも、そのプライドの高さや不器用さから打ち解けず、ほとんど学校に行かなくなり、いつも暗い自室で何やら難しく考え事をしている…
自分は周りの奴らとは違う。崇高で選ばれた人間なんだ、と心のどこかで信じている(…というか、本当はそうでない事には気づいていながらも、どうしても否定することができない)、そういう人間です。
しかし自らの哲学に沿って非凡人として行動しようとすればするほど、自分の凡人さを痛感させられて打ちのめされる…
そこで自分の凡人加減を認めてしまえれば良いのかもしれませんが、それはなかなか難しいこと。
そんな経験はみなさんにもあるのではないでしょうか?
今作は全体を通して、その主人公の苦悩を、様々な出来事を通してモロにリアルに生々しく描いています。
なので、テーマが非現実的だと思ってもとても共感できるし、何なら私は共感できすぎて少し恐怖も感じました。笑
私もこの人になる可能性はある…この人と私の違いは何だろう…何が私を繋ぎとめているんだろう… と(笑)
そんな風に考えてしまいました
自分と重ね合わせすぎると読むのが辛くなるので、ほどほどに漫画だからと割り切る事が大切ですかね笑
何より良かったのは、苦悩する主人公の姿が客観的にかなり惨めに描かれていたところだと思います。
そうなんですよね。
いくら自分が真剣にもがき苦しんでいたとしても、他人からしたらそんな風に馬鹿らしく、しょーもなく見えているときって実は多いと思うんです。
勿論他人だからっていうことはありますが、結構そういう風に孤独に悩んでいる時って視野が狭くなっている傾向がありますよね。
漫画を読んで、私もハッとさせられました。
そして変に、狂っていく主人公に読者を酔わせない描き方、素晴らしいと思いました。
綺麗事では終わらせません。
そして、この漫画の1つのテーマは人間とはなんぞやということだと思います。
登場人物が引用する言葉に、
『私は人間だ。人間的な事は何によらず、私と無縁ではない。』
というテレンティウスの言葉があるのですが、
出てきた当初はそれは、物欲から色欲、あるいは殺人欲なども含めた様々な欲望を肯定する意味合いで使われていました。(と、感じました)
しかし最後まで読み、私にとってのその言葉の意味合いは大きく変わりました。
是非漫画を読んで、その変化を感じ取っていただきたいです。
ちなみにこれはネタバレすれすれかもですが
終わり方は原作同様スッキリです。
作中ではなかなかどん底に落とされましたが、作品が示したラストは、まだ希望を残している気がしました。
お前は人間をどう生きるか?
そう問うてくるような漫画でした。
まさに哲学!
とてもオススメです、是非お時間ある時に読んでみてください!
ではまた