病院を出て近くの美味しい店を検索していると
「絵梨花ちゃん!どこ行くの?」
と後ろから追いかけてくる真奈美ちゃん。
「ちょっとご飯食べに行こうと思って」
「私、今仕事終わったんだ!この先に美味しい生パスタのお店があるよ!良かったら一緒にどう?」
え?
真奈美ちゃんと!?絶対嫌なんだけど!!
そう思って断ろうとした瞬間
「もし、アレだったら私奢ってあげるし」
ん?
アレって何だろう??
なんか馬鹿にされてる?
お金無さそうに見えたのかな?
でも、今日は動きやすいようにパーカーとデニム。
カバンとパンプスはそこそこのブランド物だけど、これと言って大きなロゴがついているわけではないので
チープに見えたのかもしれません。
「もう、お金には困ってないから大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
「そうなの?何の仕事してるの?絵梨花ちゃんとても綺麗になったよね。都会に出たんでしょ?美人なら働ける場所たくさんあるもんね。私なんて看護師の仕事しかしたことないから憧れちゃうな」
なんだか馬鹿にされてるような、水商売でしょ?とでも言いたげな感じに腹が立ちます。
いや、本当にお金持ってるから!と言っても私の貧乏オーラは簡単に払拭できなそう。
もう相手にするだけイラッとしそうだから立ち去ろうと思った時
「絵梨花!」
私の最強カード翼くんが愛車のベンツで登場です
車を駐車場に停めてこちらにやってきます。
仕事帰りに急いで駆けつけてくれたのでスーツのままです。
翼くんは、仕事中は大好きなブルガリで統一しているので上から下までブルガリ。セカンドバッグや時計もブルガリ。
もはや歩く札束です
男でマウント取るなんて嫌な女ですが
翼の腕に巻きつき
「この人私の旦那さん。大手会社の時期社長なんだ。」
風俗だけど。
ドヤってみました
すると
「はじめまして。私、木村真奈美っていいます。絵梨花ちゃんと幼稚園から中学生まで同級生だったので、絵梨花ちゃんの昔の話とか何でも聞いてください」
と。
なんだかすごく
上目遣いで仲良さげだった風に言ってますが
彼女と遊んだ記憶があまりありません。
逆にどんなエピソードがあるんだろうと疑問に思っていると
「え!?絵梨花小学生の頃虐められてたって言ってから友達いないのかと思ってたんだけど…友達いたんだね」
悪意のない笑顔に
「あ、いや、あの」
返事の歯切れが悪くなる真奈美ちゃん。
忘れていたわけではないようです。
さっきまで流暢に私をバカにしていたときとは
えらい違いです。
しかし、翼がそんな話を覚えててくれたことに嬉しくなってしまいました。
なので私も
「友達って今聞いてビックリ!意地悪されていたのももしかして私と仲良くなりたかったからなの?」
「あぁ、うん…。あの頃はごめんね」
「全然いいよ。気にしてないよ!」
強引に謝らせて(笑)
じゃあ、と立ち去りました。
病院に戻ると
「翼ありがとう。本当は真奈美ちゃんと話すのさえ嫌だったから助かったよー」
「そうなの?友達って言ってたから虐められてたって言ってたけど、ちゃんと仲のいい子はいたんだって思ってたんだけどちがうの??」
と悪意のない言葉が改心の一撃になったとは思っていなかった翼くん。
お昼ご飯は食べ損ねたけれど
穏やかな気持ちで検査を終えたおばあちゃんを迎えることができてよかったです
しかし
自分のことは棚に上げて
しれっと都合のよいことだけを勝手に水に流す人。久々に嫌な人だなーと思う出来事でした。