そして最後に笑って見せて(35) | えりんぎのブログ





~チャンミンside~





















お昼休憩でいったん席に戻った僕の後ろから。


「────ユノ。」


反射的にチラッと見てしまったら、やっぱりソヨンさん。
なぜかバチっと目があって、にこりともせずスッと目を逸らされた。


控え席の先頭で友達とふざけるヒョンはまるで気づいてないみたい。

「ユノ~!彼女~!」

誰かの呼び声にやっと反応。
ああ、とか言いながら急いで周りの荷物をまとめてる。
ソヨンさんの両手にはすごく大きな包みがあって、これから一緒に弁当なんだな、っていやでも分かった。




「キュヒョン、教室に戻る?それとも外で食う?」

べつにもう僕には関係のないことだし、相変わらず僕と2人きりになると思わず誤解したくなるほどの態度ではあるけど。

それがユノヒョンにとっての他人との距離感なんだと、納得しなければおかしくなりそうなほど僕はいつもドキドキしていた。


僕の横をすれ違いざま、よろけたように僕の頭にポンとおいた手。
そこだけに意識が集中して熱くなるのが分かるけど、絶対にヒョンのことなんて見ない。
・・もし視線が重なってしまったら、もう離せなくなる。
ヒョンの顔をいつまでも見ていたくなる。
─────ソヨンさんがすぐ側にいるのに。









「飯食ってすぐ長縄跳びってないよな~?」


腹をさすりながらブチブチ言ってるのはキュヒョン。


午後の部、最初の種目は1年生のクラス対抗長縄跳び。


二人三脚の失敗を取り戻すべく必死に頑張って、なんと1位!


ワーッという歓声の後、盛りあがるまま周りの友達と抱き合って、チームの控え席を見やる。


チーム団旗片手に仁王立ちしたユノヒョンが嬉しそうに笑ってて、いきなり目が合ったのには驚いたけど、・・でも嬉しい。


僕はやっぱり笑ってるユノヒョンが好きなんだ。




2年、3年のクラス別競技が終わりチームの総合得点は現在2位。
俄然盛りあがるチーム内。
残すは応援合戦と選抜リレー。
それで勝負が決まる。




「よし、みんな集合!」


ユノヒョンの号令で応援団が輪のように集まった。


「毎日の練習、厳しいことも言ったけど、みんなよく頑張った!俺たちが最高ってとこ、見せてやろーぜ!」


満面の笑顔で、スッと右手を差し出す。
次々と重ねられていく手。
夏休みに騙されて無理やり連れてこられたのを思いだして。
あんなに嫌だったのに、なぜか夢中になった。
誉められたくて密かに練習もした。


見まわしたら全員が真剣な顔して。
きっとそれぞれの思いがあるのだろう。


────胸が熱くなる。



ちょっとだけキュヒョンに感謝した。








全員をゆっくりと見まわす澄むほどに深いアーモンドアイ。
くいっと口角があがって、────。



「思いきり、楽しもうぜっ!」



───おぅ!


全員の気持ちがひとつになった瞬間。
大きな大きな歓声のなか、───。





前のチームの応援合戦を横目に待機場所に向かう途中。


「あ、チャンミナ、ちょっと。」なんて呼びとめられて。


足を止めた僕の真正面にユノヒョン。


衣装係が自分たちの趣味だけで作ったであろう衣装をまじまじと見た。


「チャンミナ、結構似合うじゃん。」


このゴールドのド派手な衣装が?
全員一緒だからまだ我慢できるけど、家で試着したときは恥ずかしくて死にそうだったのに。


それにユノヒョンの方が似合うよ、って言葉は言わないでおこう。
ただのバカップルのようになってしまうから。


そんな僕をまたジッと見つめて。
伸びてきた手が僕の襟元をつかむ。


「・・でも、ここは閉めておけ。」


羽織ったジャケットの、飾りのようについた一つだけのボタンを無理やりはめられる。



ジャケットの下はシースルーのインナーだった。






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さてどんな衣装だと思いますか?( ´艸`)



momokoさん《cheering17》前記事コメント欄より♪

そして《cheering18》アメ限記事であげてます♪


あっという間に飛び越えちゃった。
10年前、踏み出せなかった一歩を。