~キュヒョンside~
──────え?
シウォンさん以外の3人が揃ってそんな表情。
俺はユノヒョンがチャンミナのおにぎりを食べたなんて知らないけど、シウォンさんが言うからにはそうなんだろう。
でもそれって、マズくないか?
っていうか、完全にヤバいよな。
ピンと張りつめた何ともいえない嫌な空気。
「・・・それ、ホント?」
ゆっくりとユノヒョンを見つめるソヨンさんの声が微かに震えて。
「ああ、・・まあね。」
気まずそうにそれを認めちゃったから。
「・・・ひどい、・・ユノ。」
目にいっぱい涙を浮かべて、
華奢な身体が震えるように揺れた。
俺、どうしてこんな現場に居合わせちゃった?って気持ちと。
ユノヒョン、それはないんじゃない?って気持ちと。
シウォンさんもわざわざ言わなくても、って気持ちと。
いろいろごちゃ混ぜで今さら動くことも出来なくて。
何も言わないユノヒョンにたえられなかったのか、きつく唇を結んだまま背中を向けて走り去っていく彼女。
シーンと音がするほどの沈黙が3人の間に流れて。
チャンミナがさっさと戻ったのは正解だったな、と。
ユノヒョンとは昔からのつき合いだから、この人の前で泣く女の子を何度となく目撃したことはある。
告白して振られたり。
もっと会いたいと言って無理だと言われたり。
でも今回はユノヒョンが悪いと思った。
「ユノヒョン、追っかけないんですか?」
少し責めるように言ってしまって。
ふと目があったユノヒョンの表情に驚く。
眉間に寄った皺。
切れ長の瞳は辛そうに閉じられ、
よく笑う口元は深いため息を漏らしていた。
「─────面倒くさい。」
立てた両膝に顔をうずめて、
「酷いやつだな、・・俺。」
その声が誰よりも辛そうに思えて、何ともいえない気持ちになる。
「本当に酷いっすよ、ユノさん。」
そう言ったのはシウォンさん。
きれいにさらえた弁当を片付けながら、口元はイヤミなほど笑っていた。
「モテるからって好きでもない相手と次から次へとつき合って。」
「自分のペースは崩さず、されるがまま。」
──ちょっ、・・シウォンさん!
焦って口を挟もうとした俺をスッと片手で牽制したユノヒョン。
「好きになる努力もしてもらえず、ただ彼女ってだけ。」
「──そんな彼女をずっと好きだった奴だっているのに。」
グラウンドでは野球部のアップが始まったらしい。
ランニングのかけ声がひと際高く響いた。
「シウォン、・・おまえ、ソヨンのこと?」
もう笑っていない真剣な顔したシウォンさんが、グッと拳に力を入れたのが分かった。
「チャンミンは可愛い後輩で俺も好きです。最初無愛想なのに、親しくなればなるほど愛嬌たっぷりになるのも知ってます。それが堪らなくかわいいのも。」
「だからって、男相手に嫉妬させるほど中途半端な態度はズルいです。」
「本当にふわふわとしたよく笑う人なんです。って、知ってますよね?彼氏なんだから。」
「───あんな顔させないでくれ。
出来ないなら、・・いっそ別れてくれ。
俺が、・・、俺だったら、・・。」
シウォンさんの拳が微かに震えてる。
ユノヒョンは両手で口元を覆い、目を細めて遥か遠くを見ているようで、・・きっと何も見えてないだろう。
好きなのに、・・・
好きだから、・・・
いろいろと交差する想いが切なかった。
****************
シウォンはユノヒョンの彼女狙いだったんですね~σ(^_^;
momokoさんの《cheering3》が20話のコメント欄にアップされてます!
ああ、大人の2人(//∇//)
あくまでも他人行儀な態度に萌えます♪