~チャンミンside~
どうして高校生になった途端、みんながみんな恋愛に興味を持つんだろう。
部室にいても先輩達の話題は女子の事ばかり。
入学してすぐ新しいクラスで何組かのカップルができて。
───まだお互いよく知りもしないのに?
不思議でしょうがなかった。
入学してひと月もたってないのに、突然不躾に呼びだされて。
───好きです。
って、どこが?
───つき合ってください。
何のために?
そりゃあ僕も男だし、可愛いなって思う子もいたけど、それがすぐ好き、になんて繋がらないし、よく知らない子とつき合って常に行動を共にしなくちゃいけないなんて拷問だ、なんて思っていた。
そう、───ほんの一週間前までは。
「おまえ、甘いの好きなの?」
チョココルネを頬張る僕を覗きこむように、くりっと丸まったアーモンドアイ。
「あげませんよ。」って言ったら、ふふ、と笑って。
「じゃあ、コレ貰う。」
僕の唇端に親指をぐいっと。
知らずについてたチョコクリームを勝手に拭ってペロリと舐めてみたり。
「あ、///////////。」
言葉につまる。
なんだよ?この雰囲気は。
コレっていわゆる恋人同士がする事じゃないの?って聞いてみたいけど、当然聞けるはずなくて。
やっぱりドキドキと煩い心臓と、それを嫌じゃなく、というかむしろ嬉しく受け入れてる自分に戸惑ってしまうのに。
「ん、甘いけど、結構旨いね。」
なんて、すっかりきれいな指をまだペロペロ舐めてる人を恨めしく思った。
きっと慣れてるんだと思う。
噂には疎いから、この人の恋愛遍歴については何も知らない。
ただ、とにかくモテるとしか。
男女分け隔てなく仲良くしてるから、その中に彼女がいるのかどうかも分からないし。
聞くのも、・・何だか怖い。
「なんだよ?クリームくらいで怒っちゃった?」なんて呑気に笑ってる。
・・ああ、デコピンでもくらわせたい。
「ユノヒョン?」
校舎の端から突然現れたキュヒョン。
遠慮がちに、・・なに?ちょっと顔赤くないか?
「あ、あの~、練習予定表と秋季大会のプリントを渡すように言われて。」
「お?サンキュー!!」
ニコニコと何の悪びれもない態度。
きっと気まずいのは僕とキュヒョンだけ。
サッと何枚かのプリントを渡して、練習中だろうし急いで戻ろうとする足をとめたキュヒョン。
「あ~、チャンミナ?」
「あのさ、明日土曜日だし、練習なくなったから、今夜おまえんちに行っていい?」
あ~、ゲームね。
キュヒョンが来るのは久しぶりだ。
いつも部活が忙しいヤツだから。
「ん、いいよ。」
そしてなぜかユノヒョンをチラッと見たキュヒョンが。
「いつものように、・・と、泊まるからな?」
そう言うと、すごい勢いで走って行ってしまった。
「────なに?あいつ。」
ボソッと言う僕の横で、眉間に皺を寄せて微妙な顔をしてるヒョンのことなんて、
───もちろん僕は気づかなかった。