~チャンミンside~
─────言葉につまる、
「・・っ、・・ば、っばか?///あ、あんた、・・。」
「・・ばか、ゆーな。あんた、ゆーな///、まだ問題山積みなんだからな。」
ばか過ぎるほど向こう見ずなこの男は、強引に僕をかっさらうつもりだったのだろうか。
「来年の春、・・卒業だろ?実家には帰せないからさ。取りあえずおまえんちに許しを得なきゃ、とかさ。」
「・・許されるわけないだろ?」
ふい、とユノから視線を逸らす。
こんな話をベッドの上で、しかも裸のまましてることが急に恥ずかしくなって、もぞもぞと下着を探した。
その手を押さえるように遮るユノ。
「おまえ次第だから。」
「おまえが俺を選ぶなら、何度でも頭下げに行くし。駄目でも、まぁ、・・強引に連れてくけど。何年たっても認めてもらえるよう努力するつもり。」
うん、・・ユノの気持ちは痛いほど伝わってくるけど、・・・
「・・し、下着、履かせろ。///」
ペシッと手を払ったのを、ちぇっ、って呟きながらお互い下着だけでも身につけた。
「な、おまえ、親の会社入りたかった?」
「全然。」
「だよな?まったく関係ない学部だし。」
両親は僕を縛りつけたいだけで、僕にはまるで無関心。
僕が何をやりたくて、何の勉強をしてるかなんてどうでもいいんだ、───世間体さえ守れれば。
じっとユノを見つめたら、僕の前髪をくしゃっ、と梳いて苦笑い。
「好きなこと、しろ?おまえの人生なんだから。」
────不思議だ、ユノは。
僕の欲しかった言葉をいとも簡単に言ってのける。
ユノと一緒なら竦んで動けなかった一歩を踏み出せる気がしてくる。
なんだか胸が熱くなって、ギュッとユノに抱きついた。
素肌と素肌が密着して、ベタベタなのになぜか心地よくて。
「ん、──決めた。ユノについてく。それで、向こうで翻訳の勉強する。」
「ふふ、・・やっぱな?おまえの本、書きこみが凄いもん。」
にやっと笑ってしたり顔。
ちょっと悔しいけど、背中にまわった腕が温かくて離れがたい。
「いつか翻訳の勉強したいと思って、貯めてんだよね。ユノには迷惑かけずに行ける。」
「おまえ、相変わらず頼りきってはこないな?」って、困ったように笑う。
「でも、・・まぁ、俺も帰ってから店やるなら資金作りから考えなきゃなんねぇしな。」
ってとこで、───あ、封筒、って思いだした。
「あのさ、あの封筒、・・プレゼントなんだ、僕からの。」
そう言ったら嬉しそうに下着姿で取りにいく。
───半分意識ないのに、抱き込んで絶対離そうとしないから、取りあげるの苦労したよ、とか言いながら。
ふふ、・・面白い、ユノのびっくりした顔。
満足げにベッドで頬杖ついてユノを見やる。
「おま、・・っ、・・兄貴に会ったの?」
「まあ、ね。・・学校まで会いに来てくれた。」
「で?・・何か話した?」
「ん~?・・内緒。」
固まったように封筒の中身、権利証やら証券やらを手にとって。
「─────フリーターのユノも、オーナーのユノも好きだよ。」
言ったら、一瞬驚いて、・・照れたように、くしゃ、っと笑った。