~チャンミンside~
───────早く来すぎた。
夕暮れ時、いつ帰るか分からないユノを待つには寒すぎるのに、合い鍵は返してしまったし。
エントランスは住人に紛れて何とか通れた。
どこかで時間を潰そうか、
それともユノに電話してみようか、
─────ううん、待ちたい。
預かった封筒をぎゅうっ、と抱きしめる。
これがどれだけの価値と重みがあるのか、分からないほど馬鹿じゃない。
─────すべて放棄して僕と?
呆れるほど馬鹿だな、・・ユノ。
愛しいより悔しいよ。
これじゃあ僕の想いがひどく薄っぺらなものに感じるじゃないか。
だから、───待とう。
ユノが僕を想って行動にうつしてくれた分だけ、僕はあなたを想って待ちたいんだ。
「・・ぉぃ!!・・・チャンミンッ!!・・コラッ!!」
遠くから微かに聞こえる、・・ユノの声?
ぺしぺしっ、
痛ったぁ、・・・、なんだよ?誰?
ぐいっ、と無理やり腕を取られ引き上げられた。
ぱっ、と視界がひらけて。
────あ、あれ?僕、寝てた?
言いたいのに、ガチガチ震えて歯が噛み合わない。
冷え切った身体はまるで感覚がなくて、立たされたままガクッと膝がおれる。
「おまえっ!!こんな所で何やってんだよっ!!」
「冷えきってんじゃねぇか!!」
抱きかかえられた耳元でギャンギャンと怒ってるユノ。
今はちょっと身体の自由がきかなくて、・・・顔が見れないよ?ユノ。
そのままリビングまで引きずられ、山のような毛布にくるまれた。
「風呂ためてるから、ちょっと待って。」
頭からすっぽり毛布を被って小さく丸まれば、なんだか蓑虫のような僕。
────ばかユノ、自分だけ格好つけんなっ!!
って、言ってやろうと思ってたのに。
凍えて喋れないとは、・・恥ずかしくてしばらくユノの顔は見たくない。
「ほら?これ、飲みな?」
頭の上の方で何やら渡そうとしてる?
・・・でも、ごめん、まだ顔見たくないんだってば。
「おいっ、顔出せよ?チャンミン?」
ぐいぐい引っ張って毛布を剥がそうとするから、自然に僕も毛布を持つ手に力が入る。
「おい、って!!」
「わ、・・!!」
ああ、・・やっぱりユノの馬鹿力には適わなかった。
スポッと首から上だけ毛布から突きだして。
─────は、恥ずかしくないか///?この格好、・・////。
カァ、・・と音が聞こえるんじゃないか、って程、急速に熱くなる頬。
久しぶりに会うのに静電気だらけのボサボサ頭。
「やまんば、みてぇ。」
「/////////、・・見るなっ、ばか!!」
ボスッ、
ユノが手を離した隙にまた毛布に潜りこむ。
今度こそ両手でガードしてしばらくこもるからな。
「なぁ、チャンミン。」
ポンポンと毛布越しに。
「うるさい、ちょっと放っておいて。」
はぁ、・・とため息が聞こえて、今度は毛布越しに背中を撫ではじめた。
「おまえさ、・・何しにきたの?」
「こんな寒いのに外で震えてさ。どうして電話しない?俺が帰るの遅いって分かってるだろ?・・いつからいた?」
矢継ぎ早におちてくる質問。
「あ~~~っ!!!もう、うるさいっ!!////」
ボサボサだろうと、やまんばだろうと、構わない。
これだけは言わなきゃ。
ガバッと毛布を捲ったら、あまりのユノの近さにちょっとビビったけど。
「・・大ばかで、格好つけで、むこうみずで、・・・自分勝手なユノに、」
初めて重なった視線。
「───────会いたかっただけ。」
こんなにも強く、────。
