~チャンミンside~
───それからの僕たちはドンジュさんの目を盗んでは、宿舎で、たまに楽屋で、…軽く触れるだけのキスをしたり、ユノさんが背中からギュッと抱きしめてきたり。
「…はぁ、…2人きりにはいつなれんの?」
なんて、ため息混じりに僕の顔をのぞき込むあなた。
そんなこと、僕の方が聞きたいよ。
僕の前髪をクシャッ、と梳いて
「…おまえ、忙しいもんな?」
って、笑う。
僕は何だかいたたまれない気持ちになっちゃって。
常に側にいるのに、触れたくても触れられなかったり、…出来るだけ今までのように振る舞うのがもどかしいのは、お互い様なのに。
「あ───っ!…連れ去りてぇ!」
大きく伸びをしながらそんな事口にするから。
「…////!!ちょっと!!////声、大きい!」
咎めるように睨むけど。
ふふん、って鼻をならすあなた。
スッと長い指が顎に伸びてきて、クイッと引き寄せられては唇がおりてくる。
そんな事を一瞬でやっちゃうから、僕もドギマギしてる暇もなく、ただ呆気にとられて。
「……どうした?」
俯いて、何か言いたげな僕に不思議そうに視線を向ける。
「…あの、するなら、するって、…言ってからにして。」
「…ん?」
「…だから、…急すぎて、…何が起こったか分かんないのは、嫌だ。…損した気分になる。」
ちょっと目を丸くしたあなた、…ギュッとこぶしを握って。
「おまえ、…そんな事、言うな。…たまんなくなるだろ?」
ふい、っと椅子から立ち上がって離れてしまった。
僕はというと、…背中を向けるあなたにそっと近づいて、肩に手を置くや、…不意打ちのキス。
驚いてとっさに身体を引くあなたに。
「ふふ。……これで、いいよ。」
って、ニッコリ笑った。
「あ──────っ!!…もうっ///!」
突然、頭をグシャグシャと掻いたまましゃがみ込んで。
「……おまえ。もう今日は俺に話しかけんな。俺、…ちょっともう色々と無理。」
とか、訳わかんないこと、ブツブツ言い出した。
「おーい。そろそろ準備しろよー。」
楽屋のドアを開けながらドンジュさんが半分だけ顔をだして。
「あ?…何してんの?」
頭を抱えてしゃがみこんだ最強SPと、傍らに仁王立ちのタレント。
そりゃあ、変な構図だよな。
ドンジュさんも訝しげな表情。
「…コホ。…ん、まぁ…とにかくさ、急いで準備して。」
「あ、…はい。すぐ行けます。」
チラッと傍らに視線をうつしたら、その人はもう仕事の顔になってて。
僕はなにも言わず楽屋を出てスタジオに向かう。
───僕の半歩後ろ。
必ずあの人が見守っていてくれるから。