あれからヒョンはすぐシャワーを浴びに行っちゃって……
ヒョンと入れ違いにシャワーを浴びてリビングの扉を開けると、…部屋を真っ暗にして、一面のガラス窓の向こう煌めくようなビル群の灯りを眺めるヒョンがいた
「………ユノヒョン?」
そっと……ヒョンの隣に立ち、顔を覗き込むけど、ヒョンの視線はずっと夜景に向いたまま
……少し淋しくて…肩がくっつくくらい近づいて、僕も無数の光の海に魅入った
「………なぁ、……これがなかったら…おまえ……ここには来なかった?」
「………ヒョン………」
「……さっきは、ごめん…無理やり…
…俺……嫉妬した…シウォンにさ……
…俺のチャンミンと何してんの?って、頭に血がのぼった………バカだな?」
…なんて、自嘲気味に笑うヒョンが切なくて……僕も一緒だよ、って伝えたくて、
ヒョンの腰に腕をまわす
「……ヒョン…僕も、嫉妬しました……
まさか、ジュリさんと一緒なんて、…思わなくて…しばらく、ヒョンの顔、見たくないって思うくらい……たぶん、嫉妬しました…」
……ヒョンはちょっとびっくりしたように瞳を見開いて、
……そっと僕を抱き寄せて首筋に顔を埋めた
「……チャンミン…あいつは、おまえにとってのキュヒョンと一緒だよ?…どうしたって、何も起こらない……なぁ、分かって……?」
僕も両腕をヒョンの背中に回し、強く、抱きしめ返して…
「……分からない…!だって……ヒョンは友達としか思っていなくても……ジュリさんは違う……たぶん、…ヒョンの事…好きだ……」
「………すごく…お似合いの2人だし…」
あっ……駄目だ…なんか、泣けてきた…
胸の奥にくすぶっていた醜い感情が溢れ出て、涙と一緒にポロポロ零れてくる…
ヒョンはなぜか嬉しそうに微笑みながら
「……おまえ………泣き虫だな?……」
「………可愛い……やっぱ、すげぇ、好きだ」
とか、すごく満足げに顔中にキスをおとしてくる
そのうち、
「……なぁ、…もっと、言って…??」
とか、
「……ジュリの何がそんな、気になるの?」
とか意地悪く言い出して……
僕は真剣に言っているのに、ニヤニヤが止まらないヒョンに腹が立って、
乱暴に身体を離し、部屋に戻ろうとするけど…
すかさず腕を取られ、背中から抱きしめられる
「……逃がすかよ……!」
そのまま、ひょいっ、と身体の向きを返され、激しいキスが降ってきて……
ねじ込まれた舌が僕の口内を貪る
………ヒョンとの…こんなキスは、僕のすべてを溶かしてしまうから
……何もかも誤魔化されそうで……嫌なんだけど、嫌じゃなくて
……嫌いだけど……好きで…………
「………チャンミン
……………ベッド……いこ?……」
キスをしたまま、ズルズルと引きずるように僕を引っ張るから……
「……ちゃんと…歩けます………!」
って、軽くヒョンを睨む
「……ん………いこ……?」
2人でゆっくり部屋に向かいながらヒョンが、
「……やっぱ、やきもちって、焼くより、焼かれる方が……いいな?」
なんて、言ってくる
───この人……ほんと、ばかじゃない?