癞子(ライツ)とは麻雀の追加要素であり、ほかの牌の代用として つかえる牌を さす。この牌には かなり歴史があり、中国では地方によっては健在だそうだ。

 

癞子のほかに 百搭(パイター)、聴用万能牌マイティ牌など 流儀により さまざまな よび名が ある。英語圏では "almighty" とは あまり いわず、"joker" や "wild" と一般に よばれる。

 

白・中・1s・花牌・赤牌 等を癞子と きめておき、通常の牌と まぜて つかわれるケースも ある一方で、「少牌マイティ」つまり つねに 全員が1個ずつ もっているという方式も ある。Allenも これを採用している。


「少牌マイティは数年前に ナゴヤで発祥した。」という説も あるが、「全員が 1個ずつ癞子を もっている」さらに 「架空の牌を癞子と みなす」という発想は、もっと ふるくから あるようだ。

 
ほかに、ドラのように 1局ごとに ことなる牌が癞子になるという形式も ある。
 
 
もし 癞子を複数個 もっていると かなり優勢になる。そのため「白マイティ」等はギャンブル性が おおきい。たとえば 萬子の奇数は すべて 万能牌とすると過激に なり、略して「キティ」と いう。一方で、「少牌マイティ」では全員に均等に1個ずつ くばられるため、比較的ギャンブル性が おさえられている。
参照:キティ
 
以下では、ゲーム中での ふるまいを解説していく。さきほど のべたように、方式は「少牌マイティ」、つまり全員が1つずつ癞子を もっている。たとえば以下の ばあいである:
「45p」の両門と 「46s」の嵌張が のこっている。これらの 搭子を うめる 「3p・6p・5s」の3種が、まち牌と なる。

つまり、癞子の位置に 東や中などの牌が あったとすると、1向聴であり、うけいれの牌は「3p 6p 5s」の3種類である。したがって、これらが まち牌となる。

要するに、癞子を不要牌と かんがえたときに1向聴から聴牌に なる牌が、そのまま まち牌となる。

この要領により、複雑な くみあわせが 生じる際も まち牌を 把握できる。もう1つ 例を あげる:
おなじ要領で まち牌を かんがえると、4sから9s および 6pの 7門張となる。そのうち、5sか6sでのアガリでは 一盃口が成立する。
 
この手は「面子3つ+対子+孤立牌+癞子」に 分解できる。すると、孤立牌の前後2つまでが まち牌に なる。某所で これを 「半径まち」と 称されていた。ここでは 7sが 孤立しており、5sから9sが まちに ふくまれている。さらに「567s」の門子が あるため4sまで のびる。「半径まち」は 多門張に なりやすいため 重要である。

国士は 基本的に 2門張となる。普通麻雀での 両門まちと にている。次の例では 東か北を きると、9sと白の2門張となる:

 
また、癞子が あるときは なんでもアガれる状況に なりえる:
上の手では 癞子を のぞいた部分の形が できあがっており、癞子の単騎まちという状況であるため、どんな牌でも アガれる。とある漫画で「無限単騎」と称されていた。ただし、七対の4個づかいを みとめない規則では まち牌が へる。
 
配牌で この状態ならば、天和・地和・人和が確定する。配牌以外では かならずフリ聴だが、立直すれば即ヅモが確定している。フリ聴のオープン立直を みとめるなら、オープンすると さらに点が ふえる。Allenのアプリでは フリ聴は現物のみに適用するため、出和了の可能性も ある。
 
なお、そもそも 無限単騎での和了を反則とする規則も ある:
 
これ以外に、癞子を 同一牌の5個め以降と みなしてよいかの地域差も ある。Allenは容認しているが、みとめない規則も あるそうだ:

 

癞子があると点数計算も複雑になるが、順を おっていけば わかりやすい。

この例では、癞子を 4wと みても 発と みても 和了が成立する。Allenは 小三元=16翻、大三元=32翻、四暗刻=16翻 と している(1色モード)。
 
もし 癞子を 4wと みなすと、
四暗刻(16) 小三元(16) W立直即(3) 混一色(3) ドラ(2)=合計(40)
となるが、癞子を発とすれば 画像のように45翻となるため、これを採用する。発は3つあると みなすためドラ3で かぞえる。
 
ただし、雀荘などでは点数だけでなくチップ(祝儀)が やりとりされるため、和了手の解釈を めぐって問題となることが ある。この記事では、裏ドラに (翻数とは別に)1枚4,000点 相当の チップが つくものとする。具体例を みてみよう:
 
例1: 以下の手で和了したとする:
345567w56p4456s癞 + 立直自摸:7s  / ウラドラ:4p
癞子を7pと4pの どちらと みなすべきか。一見すると三色になる7pに きまっているが、そう簡単ではない:
  • 癞子が7pなら「立直 摸和 断幺 ピンフ 三色」の6翻で ハネ満(12,000点)
  • 癞子が4pなら「立直 摸和 断幺 ピンフ ドラ1」の5翻で 満貫(8,000点) & チップ 1枚オール
点数だけ みると、三色になる7pのほうが おおきい。しかしチップも ふくめたら、実質的な価値では、逆転してしまう。
 
例2: 以下の和了手では どうか:
556677w56p4456s癞 + 立直自摸:7s  / ウラドラ:4p
例1と ことなり 一杯口が 成立している。
  • 癞子が7pなら「立直 摸和 断幺 ピンフ 一杯口 三色」の7翻で ハネ満(12,000点)
  • 癞子が4pなら「立直 摸和 断幺 ピンフ 一杯口 ドラ1」の6翻で ハネ満(12,000点) & チップ 1枚オール
例1と ちがって 点数も かわらないが、7翻になる手を 6翻と 申告することは はたして ゆるされるのか。
 
例3:
12233w56778p88s癞 + 立直自摸:9p / ウラドラ:4w
これは 翻数も 点数も いっしょだが、一杯口と ウラドラの どちらかの 選択を せまられている。ウラドラなら チップが つくから そちらが 得である。
 
要するに、点数計算においては「たかいほうに とる」のが 原則だが、
  • チップ等を ふくめた 総収入
  • 点数
  • ドラを ふくめた 翻数
  • ドラを のぞいた 翻数
の 4つの どれが基準か不明確である。癞子と 祝儀を 併用するなら、こういう問題についても ガチガチに きめる必要が でてくる。また、赤牌黒牌の存在も ややこしい問題を うむ。癞子を つかうときの注意点について、くわしくは 白ポッチ考 

 

 

を参照のこと。