その頃少し、私のお菓子って"込められる"ということに気付き始めていました。
料理上手でマドレーヌを焼く母に育てられ、
大学進学よりケーキ職人がいいと専門学校に行かせてもらい、
なんだかんだありつつも、パティシエの仕事をしていました。
あるお店では日々楽しくケーキを作り、技術は同じくらいの人が何人かいて、仕事をこなしていました。
でも厨房内の人間関係、雰囲気が良くなかった頃があったんです。
みんな確かに一生懸命だったけど、怒ったり、グチったり、うまく回ってなかったとき。
なんか空気が暗い、売り上げもイマイチ。楽しさもイマイチ?
一生懸命なだけー?
ケーキも美味しく感じないー?
22歳の頃。
ある時、その空気の暗さにハッとして。
どんなに美味しいレシピで作っても、不安や苛立ちが入ってたら、食べる人に伝わる。
見た目にも、お店の雰囲気にも。
買って帰ろうかなー、、、いいや。ってなっちゃう。
その事に、雰囲気が少し良くなってから気付いたんだと思う。私がエハラーになったのもこの頃。
そこから段々良くなっていって、みんなですごくいいお店にしていった。いい雰囲気だった。私の青春がつまったお店。
江原さんのお陰です。
私はムースを仕込んだり、ケーキを仕上げている時に、販売に呼ばれるのが苦手でした。
販売、接客は好きで、今日は一日販売ねってことならそれも楽しい。
でも仕込みや仕上げのときは、集中してケーキと向き合いたい。
美味しくなあれって思いながらムースを混ぜ合わせて、良い状態のうちに完了したい。
ケーキを待たせたくない。
そんな風に思いながらケーキを作っていました。
そしたらそのうちに、コレは私が仕込んだから絶対美味しい!とか思うようになってました
ちょっと慣れてきて調子に乗ってた?自惚れてた?
仲間が仕込んだのも、もちろん同じものだし、美味しいんです!
でも技術的には仲間の方が上だとしても、
一人で内心そんな風に思ってました。
そんだけ愛をたっぷり込めてたってことかな
次のお店では製造はシェフと私。
シュークリームの仕上げは私の担当。
毎朝"美味しくなぁれ"と思いながら、シューの1番かわいい角度を探して仕上げていました。
ショーケースの中から、お客さんに目が合うようにイメージしてました。
でも当時の私は結婚したてで、引越しに、新しいお店。
キャパオーバーで鬱になりました。
まず1週間休みをもらい、シューはシェフが仕上げます。
すると接客担当のチーフが
エリさんの仕上げたシューの方が美味しそう。
と言ったそうです
エェッ⁉️シェフのよりー⁉️
だってすごいシェフなんだもの。
その後シェフがシュークリームと向き合うと、より一層美味しそうになりました。
これは休み明けにシェフから聞いた事でしたが、嬉しくてニヤけちゃいました
そして確認しました。
愛を込めて作ると伝わるんだな。ってことと、
私は込めて作れるみたい。
26歳の頃。
もう15年も前ですって