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Day 7 Khare カーレ 4,900m→Mera la Base Camp メララベースキャンプ 5,200m
ガーリックとププーサ、そして11時間ぐっすり眠れたお陰で体力は万全に回復したようだ。高度もほとんど感じないほど体が軽い。
朝8時、ハーネスやアイゼン、ブーツなど必要な物を最終チェックして、ベースキャンプへ向かう。今回はカーレのロッジで、アイゼンとブーツを借りた。ピッケルは不要ということで、ガイドのツィリンさんのみが念のために持っていく。
天候は快晴だか風があり、かなり冷たい。高度はどんどん上がっていくが、障害もなく、かなり調子がいい。村を出発してすぐに3つの山越えが待っていた。登ってばかりいると、体の感覚が麻痺してきて、それが当たり前になってくる。突如平坦な道に出ると、いうことを聞かない足が妙に高く上がって笑えてくる。
毎日朝昼晩しっかり食べているのに、パンツはゆるるゆるになって拳が2つくらい入りそうである。
1時間前にKhareを出発したイギリス隊を追い越し、休憩も1度きりでずんずん登っていく。昨日までと気持ちがまるで違うのは、ツィリンさんにあることを言われたからだった。
「登れるか、登れないかをあれこれ考えるより、絶対に登ると決めてしまうことが大事。そうすれば余計な心配に使うエネルギーを登ることに使えるからね」
この言葉が私の気持ちを吹っ切れさせた。私は登れるか分からないという気持ちでここまで歩いてきたんだなと。もう、全力を尽くしてやろうと思った。
半分まで来た所で、つるつるの永久凍土の上に薄く雪が積もった地帯に出た。見た目は美しく美味しそうだが、かなり危ない。
アイゼンを履こうと思ったが、ツィリンさんの判断でトレッキングブーツのままで登ることになった。滑ったらどこまで落ちるのだろうかと横目でリッジを見ながら、ゆっくり歩みを進めていく。
3時間半後、午後を少し回った時点で氷河地帯の脇にあるベースキャンプについた。風は強いし、完全な岩場。ここでのキャンプは夜寝られない人が多いため、直接HC(ハイキャンプ)へ行ってしまうグループも多い。
テントの設営、水の確保、食事作り。全てツィリンさんとポーターのバブラムさんが行う。
本来ならポーターのバブラムさんも一緒にテント泊しながら登っていくのだが、「地震が起きたらいやだ」とのことで、荷揚げだけして、Khareへ帰って行った。
意外にもテントに泊まるのは子供の頃ぶり。風は凌げて陽光がテントを暖めてくれる。この狭い異空間がなんとなく楽しいと思っていたのは夕方まで。夜は強風でテントが揺さぶられ、地面の冷たさで体が芯から冷え込み、ゴツゴツした石が体に当たって快眠どころではなかった。
結局寒さで何度も夜中に目が覚め、殆ど寝れなかった。
これが裏目に出てしまった。
ERIKO