貴久さんの実家、海月にて、ネリーナさんと


答志島での滞在を終えて、島々への玄関口、鳥羽に来ている。ここでは、今回の定住旅行をサポートしてくれた、鳥羽の旅館の女将、江崎貴久さんの家(海月)に滞在中。家が旅館だなんて、一般人からすると不思議な感覚である。


ちょうどイタリアからフードアナリストのNerina di Nunzio (ネリーナ・ディ・ヌンツィオ)さんが来ていて、私も一緒に貴久さんが運営している“海島遊民くらぶ”のツアーに参加させてもらった。

鳥羽の街を歩きながら、地元のお店などを訪ねるというなんともシンプルなツアーなのだが、これまた驚きの連続で、これまで多くのツアーに参加したことのある私でも新鮮に感じるほど、素晴らしいものだった。


 

まず、パスポートなる割り箸を渡される。江戸時代初期に使われていた昔の地図片手に、現在の街の姿と比較しながら通りを歩いていく。

 

1軒目は“寿司梅”という老舗のお寿司屋さん。美しく輝くイワシを頂いた後は、お皿に添えてあるバランのお話。
冷蔵庫や医療品が発達する前、バランは防腐剤の役割をしていたのだそう。大将が芸術的な笹のバラン切りを披露し、我々にでもできる簡単で美しいバランの作り方を教えて下さった。これを知ったことでお寿司へのイメージがガラッと変わってしまった。それは
89歳の大将の愛情の籠った刻み方に良いショックを与えてもらったからのような気がする。
一見敷居が高そうに感じるお店だが、大将の人柄と振る舞いは、素人にも安心感を与えてくれた。

ネリーナさんは「
Bella, Bellissima!!」(美しい、美しいすぎる!!)と今にもスキップしそうな興奮ぶり。

 


 サザエを年齢別に見せてくれるかおりさん


パスポートを再び手に握って、街を歩き、今度は脇道の民家の方へ入っていく。かおりさんの家は、海女さんが採ってきた貝やサザエなどの卸しをしているアットホームな会社。いくつもの閉ざされた箱が水槽の中で無造作に散らばっている。

かおりさんのお父さんが、その中から3つほど箱を取り出し、一つずつ箱を開け、サザエを年齢別に紹介をしてくれる。殻がトゲトゲの格好と滑らかなサザエの生息地の違いや、10年もののサザエまで。
海の近くで育ち、よくサザエを見ていた私でさえ、気が付かなかったたくさんの海と海産物の神秘な披露してくれた。最後は、新鮮なサザエをアワビのエッセンスが入った醤油でご馳走になった。

 

この貴久さんが開発した地元密着型のツアーは、まさに地元の人たちとリアルに交流でき、その土地の最大の魅力を肌で感じることができる、素晴らしいアイデアだと思う。迎え入れる地元の人も、接客のプロで、我々の好奇心を上手い具合にくすぐってくる。
ありふれた観光アクティビティに全く興味のない私が是非オススメしたい、“ツマミ食いウォーキング”、是非お試しあれ。

 

明日は三重を北上し、伊賀に移動する。

ERIKO