メガブ切り


昨日突然、組合長のかずゆきさんが「俺の家へ来い」と言い出した。勝代さんの旦那さんが部屋に電気を付けてくれたり、居心地の良い環境を整えてくれたところだったのに・・・またまた布団から何から荷物をまとめて引っ越し。

かずゆきさん家に引っ越したものの、勝代さんの家の子供たちにも馴染んできたところだったので、目と鼻の先の両家を行ったり来たりになりそうだ。

 

今日は私の島での1日を紹介したいと思う。

 

今、私が滞在している答志島は、三重県の鳥羽から2km。家はその南部、和具というところにある。この辺りの人々はワカメと鰆漁に従事している。答志島内でも、西の桃取は牡蠣の養殖や農業、答志はワカメ、ちりめん、その他の魚など、それぞれ取れるものが違う。違うのは漁の種類だけではなく、文化も人の気質も違うようだ。和具から答志の方へ行くと、明らかに人間が社交的で積極的なことがわかる。徒歩15分の距離なのに、この違いは面白い。

 

漁師さんたちは、夜明けと共にワカメを切りに行き、浜で待つ奥さんや家族がメカブとワカメに切り分け、さらにその場で湯通しをして綺麗に洗い、小屋へ持っていく作業をする。風があって波が高くワカメを切りに行けない日であっても、小屋で塩につけたり茎を抜いたりという仕事が待っている。

昔はキロで300円だったワカメも、北京オリンピックや東日本大震災の影響などで、現在はキロ2000円以上で取引されている。

「値上がりしたけれども、たくさんの人が死んで、喜ぶことはできんことや」と漁師さんたちは口を揃える。

 

AM8:00  小屋へ行ってヤッケと長靴を身につけて浜へ行く。その間に島の人とすれ違うが、誰一人として「おはよう」なんて言わない。えっ?島人はよそ者にそんなに冷たいの?というとそうではなく、「風があるな~」とか、「ええ日やね~」とか天気のことを言い合うのである。お互い同じ気持ちでいるよねと確認しているみたいで可愛らしい。

 

港は、漁から戻ってきた船とワカメと海苔で活気づいていて、私は人手不足の場所を訪ねては、メカブと茎をナイフで切り分ける仕事を手伝う。浜が閑散としてくると、今度は小屋へ行って塩漬けしたワカメの茎を抜く作業をする。

「あんた、女みたいな風貌やけど、中身は男やなぁ~」

単純作業なので、手を動かしている間に、おばちゃんやおじさんたちから島のいろんなことを言われながら、話を聞く。

これは後々書いていこうと思うが、島の常識は毎回驚かされる話ばかりで、私が80代のレディーたちを驚かせているばかりではない。

 


            ワカメの茎抜き 手が塩まみれになる


PM0:00  昼過ぎには仕事が終わるところも多いが、私はまだ仕事が終わっていない小屋を訪ねて手伝わせてもらう。時間があるときは島を散策したり、仕事をする。

 

PM16:00  夕食は、“隣の晩ごはん”状態で、毎晩違う家にお邪魔させてもらい食べさせてもらっている。とらふぐ鍋やお寿司などの地元の食材を使ったご馳走を日替わりで出てくる。和具の夕食は早い。だいたいどの家も食事が始まるのは5時。今滞在しているかずゆきさんの家はなんと4時からで、そんな家庭もざらにある。昼食を食べない私には、ちょうど良い時間。
(答志の夕食は一般的な時間帯)

 

PM18:00  食事が済んだら、寿々波旅館さんにお邪魔して、ゆっくり温泉に入り、1日の労をねぎらった後は、仕事。

 

PM21:00  就寝。

ちなみに昨日は答志へ夕食をご馳走になっていた。お風呂に入って帰ったのが22時前。家に着くなり84歳のお母さんに、「男にたぶらかされたんか?!」と心配される始末。家族全員寝られなかったらしい。この辺りには、夜這いや娘遊びと呼ばれるものが存在するほど、男性たちは肉食系なのだ。男にだけは厳重に注意しろとお叱りを頂きました。

ERIKO