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フアンさんとアルダナさんのところ予定より1日早く去って、Purumamarcaプルママルカという村へやってきた。ここは7色の丘が見える場所で、塩湖へもアクセスできる観光地である。塩湖といえばボリビアのウユニ塩湖を思い浮かべるが、アルゼンチンにもある。ブエノスアイレスへ戻る前の北部でのいい思い出のひとつになった。
今回のアルゼンチンの旅は、2ヶ月間、南から北まで旅をして、色んな生活模様を見てきた。自然環境が厳しく物価の高いパタゴニアに住む人、砂埃が舞い肌を焼き付けるような太陽が照りつける北部。素晴らしい景色と引き換えのその生活は、必要な生活用具や食料を調達するにしても大変な環境である。
みなさんは自分が住む場所というのをどのようにして決めているのだろうか?
私が今回滞在させてもらった家のほとんどの家族は、自分が生まれた場所以外で暮らす人たちだった。その大半が都会から田舎への移住である。彼らと生活する中で感じたのは、仕事の有無や家族などの外的要因よりも、それぞれがその場所にいることで、自分に幸せを与えられるかを基準に、場所を選んで生活していることだった。
日本いるとどうしても、都会の方が仕事があるからとか、自分自身の心の満足より、外部的、金銭的な理由で住む場所を決めたりする印象が強い。アルゼンチン人には違った角度から生活する場を選択していると思った。
フアンさんもアルデナさんも、ブエノスアイレスで生まれた。フアンさんのお父さんは世界的に有名なフォルクローレミュージシャンのハイメ・トレス。アルデナさんのお父さんは、アルゼンチンで知らない人はいない、“クレメンテ”というキャラクターのイラストレーターで有名な、カルロス・ロイセウさん。二人共都会の方が、家族や人とのつながりもたくさんあっただろう。
私が移住したことについて聞いた時、アルデナさんはこう答えた。
「ここは都会のように、治安や子供の誘拐なども心配する時間が割ける。自然が近いところにあって、お盆や自然信仰も残っているこの場所が好きなのよ。私はここでゆっくり自分の内面を肥やすことができるの。ここに来た時は私の仕事はなかったけど、今は好きな映像制作の仕事ができるようになったの」
地にしっかりと足をつけて自分の道をいくアルデナさんを見て、自分が好きだと思う場所に住むことは大切なことだと思った。そして、どの場所でも自分の道を切り開いていくことができるのだと思う。