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まだ空が白んでいる早朝のSan Antonio de
los cobresをサルタに向けて出発する。エレーナさんが眠たい目を擦りながらバス停まで見送ってくれ、陶器のカップとププーサをプレゼントしてくれた。バス停といっても、そこはただの道路。地元の人しか知らない、標識のないバス停だ。サルタまでは約4時間の道のり。そこから今日はもっと北へ、ボリビアとの国境近くにあるフフイ県のHumahuacaウマウワカまで移動する。
南米のバスは外気が寒くても、必ず冷房をガンガンにかける。毎回不思議でしょうがない。今回も防寒したのにもかかわらず結局寒くて眠れなかった。
サルタからバスに乗り換えて、ウマウワカまで5時間。小さなターミナルに着くと、アンデス高山に住む、ポンチョにアンデス特有のつばの付いた帽子を被った人たちが行き来している。ウマウワカは、河川浸食によってできた深く狭い谷の地形で、世界遺産にも登録されている有名な場所である。特に、7色の丘や塩湖へは世界中から観光客が訪れている。
サルタで滞在させてもらっているマウロさんの友人のフアン・クルス・トーレスさんとアルダナさん夫婦の家でお世話になることになった。彼らには、10才のニナちゃん(ケチュア語で火の意味)と、1才のワラちゃん(ケチュア語で星の意味)の2人のお子さんがいる。
フアン・クルスさんは、チャランゴという南米の楽器の奏者で、お父様はフォルクローレ好きなら誰もが知っている、チャランゴ名手のハイメ・トーレスさんだ。ハイメさんは「コンドルが飛んでいく」で日本でも有名になったチャランギスタで、日本へは何度もツアーで訪れており、今でも世界中で演奏を行っている。
フアンさんとアルダナさんは首都のブエノス・アイレスで生まれ育ったが、15年前に、ウマウワカの「TANTANAKUY」タンタナクイ(ケチュア語で出会いの意味)というカルチャーセンターの仕事依頼を受けて、ここへ引っ越してきた。あと3ヶ月で、あともう少ししたら戻ろうとここで過ごすうちに、住み着いてしまったらしい。フアンさんはチャランゴを教え、奥さんのアルダナさんは映像制作の仕事をしている。
ウマウワカの標高も3,000mあるが、San Antonio村で多少順応できたお陰で、高山病の症状はまったくでていない。