カラファテからリオガシェゴスに戻ってきた。バスが出発するまでの間、カラファテが展望できる丘に登り、シルバナさんと最後の時間を楽しんだ。雲の動きによって変わる湖の色、空高く飛ぶコンドル、山々の連なり。景色はいつでもそこにある。それに気づくことができるのは、まず動かなければならない。あまりに大き過ぎる景色を前に、そんなことを感じた。
リオ・ガシェゴスは、この週末と月曜の祝日に車のレースが開催されるため、いつもより車も多く賑やかだ。こちらに戻ってきてから、2日連続でスサーナ(リオ・ガシェゴスの家族)の友人のシルビアさんが夕食に招待してくれた。1日目はラムのアサード(BBQ)、2日目は手打ちパスタ。ここでせっかくの機会なので、アルゼンチンの食事について触れたいと思う。国によって食文化は異なるが、私が訪問したラテンアメリカのほとんどの国は、1日に摂る食事の回数は2回か4回。そして、どの国でもその国を代表するような食べ物は手で食する。
アルゼンチンの一般的な1日の食事の様子を追ってみよう。まずは朝食。基本的に甘い物がメインで、クロワッサンや菓子パンのようなものを食べる人もいれば、マテ茶やクッキーだけで済ませる人が多い。お昼ご飯はしっかり食べる。そして17時頃に、パンやクッキーなど軽めのものを摂るMerienda(メリエンダ)というものがある。そして、1日の中で一番しっかり食べるのが夕食。食べ始めるのはなんと21時半~22時半の間。例えば20時ごろにレストランに行っても、全くお客がいないと言ってもいい。お肉やピザ、パスタなど量もしっかりとる。
私が今回ご馳走になったシルビアさんの家では、食事はいつも23時頃から。デザートが出る頃には夜中の1時を過ぎ、満腹感と眠気に一気に襲われる。シルビアさんはアルゼンチン名物、アサード(BBQ)を焼くのがとても上手。数時間かけてじっくりと炭火で焼き、絶妙な焼き加減とジューシーさの肉を振舞ってくれる。
「アサードは手で食べないと美味しくないのよ」
エレガントな女性たちが、大きな肉を手で持ってかぶりつくのを見るのもギャップがあってなかなか面白い。
「お客さんが来た時は、朝から晩まで食べ続けることもあるわ。私たちにとっては、食事は人と交流するための口実みたいなものなのよ」
アルゼンチン人の食事にすべて付き合えば、この国の大体のことが理解できる気がする。
ERIKO