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今日は1日中雨。昆布漁もウニ漁にも出られなくても高橋家は暇になることはない。家の裏にある昆布小屋には乾燥された昆布が山積みになっている。それらを等級別に分け、尻尾と呼ばれる長く伸びた部分とメカブにする根っこの部分を切り取り分ける作業をする。
昆布の量は膨大で、この作業は秋頃までかかるという。このように雨の日でもなんでも、仕事はたくさんあるのだ。利尻昆布の価値が高いのも、昆布自体がいい質なのもあるが、すべて手作業で丁寧に行われるからだろう。
黙々と作業を続ける紀夫さんたちを残して、私と百合子ママは近所の人たちと一緒に、浮島祭りへ出かけた。本来なら港で行われる予定だったが、雨が降ったため、公民館で開催された。
子供たちのダンスショーと、歌手のライブ。百合子ママのお孫さんと子供も出演していた。島の子供たちが全員集まったかと思うほど、たくさんの子供たちで賑わっていた。この子たちが大人になるころには島はどうなっているのだろうか。
ダンスの先生は、この間昆布を乾かした時に出会ったひとみさんだった。晴れ舞台と昆布の時のギャップで、初めは誰だかすぐに思い出せなかった。昆布を乾かしに来ているのは、学校の先生、警察官、消防官など様々な職種の人たち。島の半分以上の人たちが昆布に携わっている。
子供たちのショーはレベルが高く、私も久しぶりに踊りたくなった。それにしても、高橋家の子供や孫たちはダンス、スキー、サッカーなどといろんな才能を持っている。
「こんな大変な漁師をやっていられるのは、好きだから。親は子供たちに好きなことに出会えるきっかけを与えてやるのが大切な役割だ」と紀夫さんとママが話してくれたのを思い出す。この教育方法は、たくさんの天才たちを生むユダヤ人が子供たちにしていることでもある。
祭りが終わったあとは、孫たち5人が高橋家に集合し食事をした。賑やかだが、女の子ばかりなので、荒れたり物が壊れたりはしない。私は男兄弟の中で育ったので、女の子の遊びの楽しさがいまいち理解できないが、見ていてなんとも微笑ましい。
さて、明日の朝はどんな天気になるだろうか。部屋の外では、海の唸り声が聞こえてくる。
ERIKO