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春はどこへ行ってしまったのだろう。今日のイナリには雪が降った。家の前に広がるイナリ湖は、溶けかけの薄い雪が波に揺られてカラカラと音を立てている。今日は日曜日、アイキオ一家は11時頃にのそのそと活動を開始した。人の家に滞在する時、私はなるべく生活のリズムを家族に合わせるようにしている。家族が起きる時間に部屋を出て、寝る少し前に部屋に入るようにしている。
アイキオ一家を紹介してくれたなかのさんから、「アイキオ一家の生活は自然環境と一緒にあり、予定もなければ突然何か始めたりするので、あまり気になさらず楽しんでください」と伝言をもらっていた。彼がいう通り、私は突然家族の一員になってしまったようで、家や家族の紹介もなければ、気も遣われない、何がしたいかなどを訪ねてくる様子もない。このような雰囲気の家族は初めてで、少々戸惑っている。
窓に叩きつける冷たい雨が、同情するように私の不安な気持ちに寄り添う。これから2週間、何か起こるのだろうか。人はすべてが決まり切っているとつまらないと感じるし、何も決まっていないと多少なりとも不安を抱える生き物なのかもしれない。
何はともあれ、私はすでにこれまでとはまったく違った価値観に参加をしていることは確かだ。
ご飯の時間もまるで決まっておらず、お腹が空いた時に食べるという極めて健康的だ。人は毎日違うことをして生きているのだから、食事にそれに合わせて摂るべきだと私は思う。夜19時頃にサラダとスィーカという白身魚のフライを食べた。塩加減が抜群で美味しかった。
ERIKO