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 ディンボチェで2日間を過ごし、今日からまたエベレストBCに向けて出発する。右足のブーツ腫れは少し収まったが、まだ痛みがあるので、サポーターを付けてカバーして歩くことにした。

 今日でトレッキングを始めて1週間が経とうとしている。ロッジでの滞在や寝袋で寝ることなど、生活のリズムにはすっかり慣れて、泊まる先々のロッジで出会う顔ぶれもおなじみになってきた。

 話しを始めると、大体みんな口を揃えて、「一人で来たの?」と聞いてくる。確かに、周りを見るとグループや少人数で来ている人達がほとんどで、一人はほとんど見かけない。

 私はいつも旅をする時は、一人で出かける。それは一人が好きということもあるし、人に出会いたいからだ。一人でいれば、本当の意味で人に出会うことが出来ると思っている。しかし同時に、決して一人なんかではない。今回もそうだが、ガイドのラクパさんや、ポーターのパマスも一緒にいてくれる。ある場所へ行けば、必ず人間があるのだ。例えそれが誰もいない深い深い森の中であっても、必ず人がいる道に繋がっている。一人は、決して独りではない。



 今日は、4,900mのロブチェで1泊する。背の低い草木には霜が降り、いつもと同じザックが心なしか肩に重くのしかかる。
丘を越えると突然開けた景色に遭遇する。周囲を山々に囲まれ、幻想的な世界が目の前に現れる。ただそこにある壮大な美しさに、一瞬にして涙が込み上げてくる。それは、自分の中の何か大切な物に触れたときに分けもなく流れるもののように。

 荷物運びのゾッキョ(牛×ヤク)は、標高が高くなると、高所に強い毛の長いヤクという動物が使われるようになる。黄土色の土に白い山々。ヤクが歩くその姿は、この景色にふさわしい。



        ヒマラヤで亡くなった人達のお墓が並ぶ

 ロブチェには、12時半頃到着。今日の昼ご飯は、ラクパさん自らが厨房に入り日本米で作ってくれた、お粥。ダシが絶妙にきいて、美味しくて笑いが止まらなかった。ヒマヤラの山の中で日本のお粥を食べているギャップが妙にツボだった。

ERIKO