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 16日の朝成田を出発して、マレーシアのクアランプールで乗り継ぎをし、同日の23時、ネパールの首都カトマンズに到着した。
成田は大勢の人達で混雑しており、余裕を持って行って大正解だった。

 今回使用したマレーシア航空と
JALは共同運行を行っているようで、クアランプールまでの機体はJALだった。まだ自分がネパールへ行くという実感が掴めないまま、飛行機は飛び立った。

 前日ほとんど寝ていなかったので、爆睡するだろうと思っていたが、機内で「永遠の0」を2回観て、本を一冊読んだらあっという間に6時間が経ち、着陸態勢に入った。
 「永遠の0」は以前映画館でも観た。私は頭の処理能力が遅いせいか、映画はいつも2、3回観なければ、内容がきちんと把握できないのだ。映画を観ている間、中南米で出会った日系移民の方達から聞いた戦時中の話しやその話しをする彼らの顔が浮かんでは消えていった。彼らは今も元気だろうか。

 カトマンズまでの飛行機はほぼ満席で、私の窓側席にはすでにネパール人の青年が座っていた。彼とチケットを照合し、お互いが同じ番号が記載されたものを持っていると分かると、彼はすぐに席を立って私を通し、10kgのバックパックを荷物入れにしまってくれた。
彼は空いていた隣の席へ移動すると、流暢な英語で、自分は中国で働いていて里帰りをしているのだと言った。見た目は髪も伸ばしっぱなしの無造作ヘアーで、体は香辛料の臭いをプンプンさせていたが、とても親切な青年だった。

 飛行機が離陸する前のカトマンズは、町の明かりがほとんどなかった。ポツポツとオレンジの光が所々に見えるだけ。
 40ドル支払ってビザを取得し、出口を出るとおびただしい数の人、人。肌の色が浅黒い人達だけに、ギラギラした目玉が目につく。みんなそれぞれに、たくさんの人達のうちの誰かを探しているのだ。
 空港を出る瞬間はいつも少し不安になる。ちゃんと迎えに来てくれているだろうか。来ていなかったらどうやって移動するかとか。


 気温は16℃。いつかインドで嗅いだ、埃や体臭や香辛料が入り交じったような独特な匂いに包み込まれる。懐かしい。
 人が密集してカオスに見えても、感じる雰囲気はどこか穏やかで、緊張感がない。それぞれの国が身にまとう空気というには不思議である。私は一体どこでそれらを感じているのか。

 待ち合わせの人が見つからず、ウロウロしていると、周りの人が、「電話かけてあげるから、番号見せて」と手を差し伸べてくれる。
 そうこうしている間に、迎えの人が見つかった。日本語を解す、品のある女性だ。ひとまず安心。
 今回お世話になる、ヒマラヤ観光開発の現地職員さんにホテルまで送迎してもらい、シャワーを浴びてベッドに入る。



ERIKO