家族の別荘地

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 週末の日曜日はポルト・ビエホから37km離れた、マナビ県最大都市マンタにある家族の別荘へ出かけた。太平洋に面したマンタの人口は約30万人、エクアドルで最も重要な港町の一つである。
1534年にスペイン人が来るまでは、マンテーニャ文化が栄え、この土地は現地の言葉で“魚の家”を意味する“Jocay”(ホカイ)と呼ばれていた。インカの人達にとっても商業の拠点となっていた歴史のある場所である。ここにはマグロ漁を行っている日本人もいる。

 オルドニャス一家の週末は、マンタの別荘でゆっくり過ごすのが定番なのだそうだ。真っ白のマンションに青い海が綺麗に映え、家の前にはプールがある。
毎回疑問に思うことがある。海が目の前にあるのに、どうしてプールに入るのだろうか。海の方が浄化作用もあるし、波もあって楽しいと思うのだが・・・海が見渡せるプールのステイタスは、どの国でもセレブのお決まりごとなのかもしれない。

 夕方
5時の遅い昼食には、カスエラを食べた。ピーナッツとプラタノでできた魚介のグラタンで、ご飯と合わせて食べると絶品だった。グアヤキルに住むマリアさんと息子のエミリアーノ君とお別れをしてポルト・ビエホへ戻った。



                  マンタの海岸


 月曜日の今日は、就活中のアンドレ以外はみんな仕事へ出かける。オルドニャスさんは近くのショッピングモールで服屋を経営し、息子達もそれぞれバーやカメラ屋の経営など、お父さんのルーチョさんの血を引いてかみんな経営者である。

『あっ、今日誕生日だ』
ルーチョさんの一言でみんな誰の誕生日を忘れているのかそわそわし出す。『車、こいつ20万キロ突破した』
ルーチョさんが口を開く度に笑い声が響く。



                       植物園


 町の中心にあるポルト・ビエホ博物館の前まで乗せてもらい、アンドレと一緒に館内に入る。エクアドル国内にある博物館は全て無料で、大体説明をしてくれるガイドさんもいる。現ラファエル・コレア大統領がこの制度を設けたのだそうだ。館内はポルト・ビエホの歴史や絵画、昔のこの地域の新聞が展示してある。リクエストをすれば、希望の年月日の新聞を出してくれ読ませてくれる。地下の図書館は子供達の賑やかな声がこだましている。

 博物館のあとは植物園を訪ねた。蘭園、盆栽、またアマゾンで見られる動物達も見ることができる。
家で昼食を取った後は、ルーチョさんが『エクアドルで一番旨いデザートを食べさせてやる』と、隣の小さな村ロカ・フエルテまで連れて行ってくれた。



             ロカ・フエルテの広場


 真っ白の教会のある広場で車を下りると、お菓子の小売店が並び、かき氷屋の路店が出ている。この町は甘い物が美味しいことで有名らしい。いつも行っているというお菓子屋さんで盛り合わせを購入し、かき氷を食べた。シロップはマラクジャ、イチゴなど数種類からいくつも選ぶことができる。日本のかき氷と違うのは、ストローで吸って飲むことである。暑い気候にはピッタリのデザートである。



           たくさんの種類のお菓子が並ぶ


 家までの帰り道、先日の雨で川が氾濫し洪水になっている箇所をいくつも通りかかった。橋の高さを超えるほどの水量である。家が浸水している人たちを見かけたが、なぜかみんな笑顔である。
“悲劇的な事実は変わらないのだから笑って過ごした方がいい”
私はこのような所に南米の人たちの美しさを見る。




           先日の雨で洪水になった場所




★El plato de hoy 今日のご飯★


カスエラ ピーナッツとプラタノ(調理用バナナ)がベースとなった、魚介類のグラタン。アワビ、エビ、イカなどが入っていて絶品。


ERIKO