
3/12
今日は海岸部のマナビ県プエルト・ビエホへ行く予定であったが、予定を変更してキトにある“富士野日本語教室”を訪ねることにした。
午前中は郵便局で荷物を送り、パナマ行きのチケットを購入した。郵便局では極力荷物を軽くしようと係の人が段ボールのいらない部分を切り落としてくれたり、軽量の袋に詰め替えたり様々な努力をしてくれた。サービスを越えた思いやりは日本顔負けのクオリティーである。
“富士野日本語教室”はエクアドルに唯一の日本語教室である。最近エクアドルの第二の都市である、グアヤキルにも教室がオープンしたばかり。
教室を運営している日本人の芳村さんは想像していたよりも随分と若い綺麗な女性だった。メールのみでやり取りしていたので、私が勝手にベテラン女性を想像してしまっていたのである。
賑やかな町中に建つ立派なビルの1階にある教室は、11才~大人までと幅広い年齢層でレッスンを行っている。キトのカトリカ大学でも日本語の授業を行っているが、中学生や高校生は通うことができないため、この教室が日本と関わりを持つことのできる大切な場である。
今年で4年目となる教室は毎年生徒が倍増傾向にあり、現在は35名のエクアドル人がここで日本語を学んでいる。生徒が日本語を初めるきっかけも、従来から人気のアニメはもちろん、在エクアドル日本大使館が日本文化の普及に力を入れ、イベントや映画上映などを積極的に行っていることも大きい。
始めに12歳のセバスティアンの個人授業を見学させてもらった。いつも小学校が終わった後に来ているそうで、ひらがな、カタカナ、漢字をスラスラと読んでいた。
『アニメは好きだけど、日本語がどうして好きか分からない』と、はにかむ姿はどこにでもいる12歳だ。近い将来、『奨学金制度を使って日本で勉強したい』と、鉛筆を口の周りでくるくると回しながら答えてくれた。
今日から始まる、会話のグループレッスンに参加させてもらった。
私の故郷である鳥取県は、2002年のサッカーW杯でエクアドル選手が合宿をした地でもあり、エクアドルには“とっとり”という言葉を知っている人達が多い。鳥取県の写真をみんなで見ながら日本語で会話をした。
教師の芳村さんは、『彼らが日本へ行くことができるように、夏のホームステイプログラムなどを企画しているんです。日本人は長期で知らない人を受け入れることに慣れていないので、なかなか受け入れてくれるステイ先を見つけるのが大変で・・・。でも日本の文化が好きな彼らにどうしても行かせてあげたいんです』
会話クラスに来ていた4人の生徒は、来年日本に行くことが決まっており、とても楽しみにしているようだった。
芳村先生は以前JAICAの仕事を通してエクアドルに滞在し、現在はその時に会ったエクアドル人の旦那さんと“日本とエクアドルを結ぶ架け橋”として貢献できるように日本語教室を開き、運営している。
『教え始めたときは小さかった子が、どんどん大きくなっていくんです、可愛いですよ。でも彼らの親が一生懸命稼いだお金を頂いているので、彼らがしっかり学んでいけるように授業は厳しく指導してます』
芳村先生の生徒に対する細やかなケアーからは彼らへの深い愛情が感じられる。ここで学ぶ生徒達が日本とエクアドルの将来を背っているかもしれない。彼らが日本語を学ぶ真剣なまなざしは、一人の日本人として心を揺さぶられるものがあった。
※ FUJINO日本語教室では、日本語を学ぶエクアドル人生徒を受け入れてくれる日本のホームステイ先と、教室の日本語教師(キト、グアヤキル)を探しています。少しでも気に止まった方は下記までご連絡下さいませ。
FUJINO日本語教室 担当:芳村 fujinogakkou@fujinojapones.com
Web Site http://www.fujinojapones.com
ERIKO