小雨の中進む


3/2

 昨晩用意された湯たんぽは目が覚めても温かかった。バスルームの窓からはすでに馬を連れたアシエンダの人達が働いている。天気はあいにくの曇りで山は見えない。

 朝食を取った後、持っているだけの服を着込み、専用の皮の雨具パンツをはいて馬に乗る。
今日はアシエンダから
8km離れた湖の近くの小屋で1泊する。馬に乗るのは初めてではないが、自分で手綱を握るのは初めてである。アシエンダの馬たちはきちんと調教されており、どんな人が乗っても馬が合わせてくれる。

 準備が整い、ガイドのパトさんと先頭に歩き出す。地面は湿地帯で緑の絨毯の間からは黒い泥が見える。馬の腰まで浸かってしまうほどの深さの場所もあり、“馬力”がどれだけすごいものかを思い知らされた。
ここには車も人の足でも歩けない。馬だけが唯一の手段である。
私の乗った馬はとても賢く、なるべく泥と急な坂を避けながら歩いてくれる。





            標高4,000mにある湖


 丘の上り下りを幾度となく繰り返す。徐々に標高は上がり、雨風にさらされながら1回の休憩をはさんで4時間後に湖に建つ小屋に着いた。
標高
4,000m、馬から下りると一気に脱力感に襲われた。馬に乗るだけでこんなに体を使うとは思っても見なかった。



               夕食用の鱒を釣る


                                 コックさん達


 昼食のサンドイッチを食べ、昼寝をし、魚釣りをして、辺りが暗くなっていく様を眺めた。空には鈍く輝く星が見える。旅の友たちはそれぞれ1匹ずつ鱒を釣り、夜は釣った鱒と牛肉を焼いて食べた。小屋には藁が敷いてあり、その上に寝袋を敷いて寝る。暖炉の火が消えると一気に気温が下がり、雨音が響いた。 
   



 
                   夕食


               旅のメンバー


※ヤナウルコの滞在は、駐日エクアドル大使館、Hacienda YANAHURCO様の協賛・協力頂いております。


ERIKO