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メデジンからキトまでは約700km、1時間半ほどで到着した。ちょうど東京—青森間の距離である。
マリスカル・スクレ空港は3日前に運営を開始したばかりでこれまで訪れたどの空港より美しかった。以前はキト市内にあった空港は郊外へ移動し、空港から私の滞在するキトの北エリアまでは約1時間半かかった。
周囲は5,000m級の山に囲まれ、山の風景が気持ちを高揚させる。行き交う人はボリビアやペルーで出会ったアンデスのほっこりした山と共に生きる人の顔立ちをしている。
タクシー運転手のルイスさんは日本の結婚制度や恋愛模様についての質問ばかりしてくるので、私はそのうち疲れて眠ってしまった。
家がある地区は高級マンションが建ち並んでいて、上流階級の人達が住むエリアであろうと思われる。
標高は2,850m、マンションには温水のプールも付いている。ガラス張りのリビングからは山と山の間にできた町と、パッチワークのようになった黄緑の山肌が見える。
カルメンさんの両親はペルー人とニカラグア人で、彼女はアメリカの大学を出て、エクアドルに住んでいる。彼のフェリッペさんはサイクリストで、チリからアラスカまで自転車で縦断した経験を持ち、エクアドルの山のことも知り尽くしている。今回私は兼ねてからの夢であったコトパクシ登山に挑戦しようと思っているが、運良く登山家の友達の多い彼から適切なアドバイスをもらうことができそうだ。
カルメンさんの趣味はサイクリング。今朝一緒に出かけようと誘ってくれたのだが、私はぐっすりと熟睡してしまっていた。
お昼にマリアさんが昼食に誘ってくれ、彼女の友達のスペイン人のテレサさんと3人で近くのカフェで食事をした。
午後からは三菱商事のキト支店で働くエドアルドさんがキトの町を一望できるPanecillo(パネシジョ)展望台へ連れ出してくれた。
エドアルドさんは背が190m、白人でグリーンの目をしていて、パッと見エクアドル人には見えない。キトの町は谷に沿って縦に長く、赤道直下にありながらアンデスの中腹に位置しているので、日差しは強いが肌寒い。
展望台からはキトの北から南、世界文化遺産の旧市街が見渡せた。
これから私はこの景色の中のどこを歩き、どんなものに出会うのだろうと想像した。コロンビアから来たせいか、町や人がおっとりしているように感じる。眺めのいいレストランでコーヒーを飲んで家に戻った。
これから1ヶ月のエクアドルの滞在、どんなことが待っているのだろうか。