
バランキジャの愉快な仲間達
2/11
昨日からバランキジャから約70km離れたサンタマルタへ来ている。
またバランキジャへは1日だけ戻ってくるが、お世話になったロペス一家にお礼を告げ、彼らが受け取らないと言ったお礼金を、お手伝いさんの薬代にとこっそり手渡した。
カーニバルの翌日はジュディーさんが昼食に招いてくれ、サンコーチェというスープにご飯と牛肉、ユカ、ジャガイモが付いた伝統料理を振る舞ってくれた。コスタ(海沿い)の人達はこんな暖かい気候にも関わらず、温かい物をよく食べる。
食事が終わったあと、日本コロンビア協会のカオル・ドクさんにお別れを告げに行った。Kyotoのポスターが貼ってある扉を開けると、蓄音機から昔の日本の歌謡曲のような音楽がかかっている。カオルさんは私の顔を見るなりいつもの優しい笑顔になった。数えるほどしか会っていないのに、こんなに親近感が湧く人は珍しい。
『これ広島に住む従兄弟の連絡先とプレゼント』と言って、従兄弟に名前と電話番号が書かれた紙と、フアン大統領からの写真付きの感謝状を記念にとプレゼントしてくれた。
『Me siento siempre orgulloso de ser descendiente de japonés』(私は自分が日本人の血を引いていることをとても誇りに思っています)と言った。
その言葉は彼の人生といつでも隣り合わせであるように思えた。
『Cuando vas a volver a Barranquilla?』(いつまたバランキジャへ帰ってくる?)
『Lo mas pronto posible』(できる限り早く)
この質問はどこでされても胸が痛くなる。
建物を出ると、カオルさんはベランダに出て手を振り続けてくれた。カオルさんが最後に見た私の顔が泣き顔になってしまったことを残念に思う。遠くからだったが彼の目も心なしか赤くなっているように見えた。
サンタマルタまでは、ジュディーさんとラミロさんの車2台、総勢8人がかりで送ってくれた。町ではまだまだカーニバルが引き続き行われており、小さな村でもバーにはぎっしりと人が集まり踊っている。
今日はさっそくシエラ・ネバーダ山の麓にある、グアチャカのビーチに連れて行ってもらった。ビーチ周辺はとても静かで観光客の姿もなく、貸しコテージがポツンポツンと建ち、知る人ぞ知る穴場スポットのような場所だった。
そこにダイアナさんの友達のエリアナさんとドメニカさんが待っていてくれた。『カーニバルで疲れた体を休めてね!』
ダイアナさんはエンジニアとして自分の会社を持っている、所謂やり手の女性である。彼女の頭の良さは一言二言交わしただけですぐに感じることができる。ダイアナさんには3歳になる息子が1人、サンタマルタの北、ババリア地区で息子と2人暮らしをしている。
海は波が荒く、砂で茶色く濁っていて立っているだけでも体がさらわれていきそうだ。それでも体を海水に浸けると全ての汚れが洗われていくようだった。
昼食は白ワインに野菜の炒め物、お肉、サラダととてもバランスの良い食事だった。
『本当によく食べるわね』
この旅が始まってから、いや始まる前から言われ続けている言葉である。
特にコロンビアに来てからは食べ物が美味しいせいか食欲がさらに旺盛になっている。
食べ終わった後は、ダイアナさんの飼っているミニチュア・シュナウザーのタバタちゃんと散歩をして、ハンモックで昼寝をした。
バランキジャで聞いていた賑やかな音達が、サンタマルタの山に囲まれた静かな空間と波の音に吸い込まれていく。
★El plato de hoy 今日のご飯★
ERIKO