
これで150円弱
2/2
先日お昼ご飯に招待してくれた、日本に住む友人のお母さん、ソニアさんがシパキラという町にある“塩の教会”へ連れて行ってくれることになった。『是非家に泊まりにいらして』の言葉に甘えて前日に一泊させてもらうことになった。
花をプレゼントしようとタクシーの信号待ちをしている時、花を売り歩くおばさんからバラを12本、3000ペソ(150円弱)で買った。さすが花大国コロンビア、1本1本しっかりしているのにこの価格は安すぎる。日本で母の日に送られるカーネーションもほとんどがコロンビア産のものである。
『今日は私の友達の誕生日会があるから一緒に行きましょう』
夜8時過ぎに同じマンションに住んでいるエルビアさんとキューバレストランへ向かった。
エルビアさんは80歳を過ぎているというのに健康そのもので、ズバズバ物をいう。
『レストランで良い男捕まえなさいよ、まぁ私のあとにだけどね』
誕生日会には10人以上の人が駆けつけていた。11時を過ぎて盛り上がって来た頃、みんなそれぞれクラブや次の店へ移動し始めた。私も同行することになり朝方まで楽しく過ごした。そんなことで結局ソニアさんの家では数時間しか眠れなかった。
翌日、朝10時にエルビアさんも一緒にシキパラへ向かう。土曜日ともあって道は随分混雑している。
車の中でもエルビアさんはよくしゃべる。
『私は一度も結婚しなくて家族もいないけど、人生楽しんでるわよ』
彼女のアドバイスと人生ストーリーが中盤にさしかかった頃、シパキラへ到着した。
塩の教会“Catedral de sal”(カテドラル・デ・サル)は世界一の大きさを誇る塩でできたカトリック教会である。カラフルな照明に照らされたトンネルをくぐり、約200m地下へ降りていく。
教会にたどり着くまでには12の十字架が置かれている。12の数字は様々な意味合いがあるが、キリストが十字架に張りつけられるまでにあった出来事を表している。
硫黄のような匂いをかぎながら神秘的なトンネル内を歩く。最年長のエルビアさんは歩くのがとんでもなく早い。
教会に到着するとガイドの説明が終わり、お土産屋さんへ向かう。
ソニアさんとエルビアさんはエメラルド宝石店で店員に値段を聞きながら世間話をしている。
帰りはレストランでアヒヤコ(シチューのようなスープ)を食べて帰路についた。
『私のこと、本当にたまにでいいから思い出して頂戴ね』
エルビアさんは最後まで疲れも見せずパワフルだった。
都会なのにゆっくり時間が流れるボゴタの町を私はだんだんと好きになり始めている。
ERIKO