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日曜日、家族は朝早くからルイスが免許を取ろうとしている船の練習に湖へ出かけた。
日本で働いている知人のお母さん、ソニアさんとその友達とで昼食へ出かけた。タクシーを呼び、彼女の家まで向かう。滞在先からすぐ近くのはずなのになかなか着かない。
『まだ着きませんか?』
住所を言い直すと、Calle40をCalle140と勘違いしていたようで随分遠くまで来てしまった。ソニアさんに電話をかけると『そこまで行くから待ってて!』というので、近くのショッピングセンターの前で降りた。
メーターを止めて金額を確認する運転手に、『ここへ来る予定ではなかったので、半額しか払いませんよ』言うと、『もちろんです、ごめんなさい』と謝った。外国人だから騙されたのかどうなのかよく分からないが、降ろされたショッピングセンターで欲しかった靴が偶然見つかったのでちょうど良かった。
緑のマツダの車で現れたソニアさんは、育ちの良いお嬢様という感じで、話し方も運転も実にエレガントだ。
到着した場所はプチ遊園地のような所で、ファミリーで遊びに来ている人がほとんどだった。
ソニアさんの友達と合流する。私と同い年のクリスティアンと彼の妹と彼女、そして妹の彼氏が来ていた。
芝生の上に木のテーブルとイスが設置されている。山を目の前に自然の中で食事をするというのが、ボゴタの人達の定番の休日の過ごし方の一つなのだそうだ。
食事はアサード(焼き肉)、アレパ(トウモロコシの粉で作ったパン)などの盛り合わせを手で取って食べる。日本のお寿司もそうだが、これまで旅した各国の定番の食べ物をいうのはどれも手で食べる。その理由は共通して、『手で食べた方が美味しいから』である。そして本当にどれも美味しかった。
花瓶に飾られたイキイキした花を見て、今自分は花の都コロンビアにいるのだという気がした。日本で売っている多くの花はコロンビアから輸入されている。
ソニアさんの2人の息子は日本で働いており、彼女は大きな家で一人暮らしをしている。ソニアさんが飼っている犬のケイコちゃんと戯れ、『息子の大学の卒業式にこれを来て行こうと思うんだけど、どうかしら?』などとたわいもない話をして、日が暮れてから家まで送ってもらった。
『また家にも泊まりにきてね』
車を降りると巨大な満月が空に浮かんでいた。たくさんの光がある都市では、星や月のことを忘れてしまいがちである。1日に1回は空を見上げることを忘れないでいようと思った。
ERIKO