カテドラル


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 コロンビアに来て早くも一週間が経とうとしている。元旦から20日間で4カ国を移動するという短期滞在が続いていたので、今回はしばらく国の移動がないというだけで気持ちが大分楽である。夕食をほとんど取らないせいか体調も良い。

 初日に空港へ迎えに来てくれた、シルバナさんとミツオさんが市内を案内してくれることになった。
ボゴタ市は渋滞を避けるため車両規制があり、曜日と時間によって走れないナンバープレートの番号がある。いつでも好きな時に出られないこともある。今日は1日中走ることができるようで、お母さんのシルビアさんも一緒に4人で出かけた。
コロンビアの女性は、話口調や振る舞いが穏やかである。シルビアさんはコロンビア人独特の温厚さに加えてとてもお茶目で可愛らしい。さそり座同士で気も合い、さっそく腕を組みながら歩き始めた。

 私たちが住んでいる北部から、中央部へ向かう。だんだんとコロニアルな景色へと変わっていく。
ボゴタ市の中心である巨大なシモン・ボリバル広場は、周囲を裁判所、カテドラル、国会議事堂などに囲まれている。
『初めて来たわ!』シルバナさんは観光客ばりに写真を撮りまくっている。近くに住んでいるとなかなか足を運ばないのはどこでも同じようだ。
石畳が続く町を歩きながら、レストランで昼食を食べた。
Ajiaco(アヒアコ)と呼ばれるシチューのようなトロっとしたスープにご飯とアボガドを入れて食べる。今日までコロンビア料理は外れがない。
満腹になるとみんなに睡魔が襲い、体に喝が入らず思い思いのペースで散歩を続ける。




          シルバナさん一家 ボテロ美術館で


 メデジン出身の画家、フェルナンド・ボテロ美術館を見つけた。彼の絵は全てがふくよかに描かれているのが特徴で、画家の名前が伏せられていたとしても彼の絵だとすぐに分かる。コロンビアはもちろん世界で有名な生きている画家である。
館内にはボテロの絵や彫刻作品はもちろんのこと、ピカソ、ルノワール、モネといった画家の作品も展示してある。個人的にはフランシス・ベーコンの絵が見られたのが大きな収穫だった。







 旧市街、ラ・カンデラリア地区を歩く。静かな通りに安宿や小さなお店が立ち並んでおり、ペルーやチリのアタカマのようなアンデスを感じさせる雰囲気だ。
ここは
1538年スペイン人によって植民地開拓が行われる前までは、ムスイカ族が定住していた場所である。チョロ・デ・ゲベド広場には若者達が階段に座って話をしていたり、お茶したりしている。
旧市街全体はコロニアルな建物や景色が続いているが、ヨーロッパの雰囲気に加え南米のラテンぽさと荒々しさを感じる。







                   この博物館で一番最初に展示された “ポポロ”


 最後はMeseo de oro(金博物館)へ立ち寄る。物のディテールがしっかり見えるように展示されていたり、アトラクション感覚で見せてくれる所もあったりと、入場料3,000ペソ(約150円)では安すぎる内容だった。

 夕食はカフェでアグア・デ・パネラを食べた。サトウキビの温かいジュースにチーズを入れて食べる。チーズは歯ごたえがありサトウキビの甘さと抜群に合う。

 『
Me regalas ~?』(~ちょうだいできますか?)
『コロンビア人はあまりはっきり物を言えない人種だから、言う時は丁寧に当たり障りなく言うのよ』
私も少し感じ始めていたが、コロンビア人は日本人のように物を遠回しに言うことが多い。
『エリコはそのままはっきりと言っていいのよ!その方が面倒じゃないんだから!』
家を紹介してくれたエル・サルバドールの友人マルコが『コロンビア人と働く時は
2回考えなければならいから大変だ』と言っていたのを思いだした。

 店を出ると、物乞いをする人達に囲まれた。同じ地球というフィールドの上で国という囲いを越えれば全ての環境が変わる。国とは社会とは国境とは一体なんなのだろうか。


ERIKO