
ボゴタでお世話になるルシアさん一家
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アパートの住人全員に別れの挨拶をして、タクシーで空港へ向かう。車はLAVAというキューバ産の車だった。シートベルトもちぎれていてオンボロだったが、ドライバーさんはピカイチだった。彼は足を気遣ってか、登場のチェックインが終わるまで荷物を運んでくれ列に並んでくれた。
『またキューバに来てね!』気持ちの良いキューバとのさよならだった。
アバナから3時間、ボゴタに到着したのは20時。ここでお世話になるシルバナさんとミツオさんが迎えに来てくれた。彼らのおじいちゃんは日本人だそうだが、顔つきからは全く分からない。
ボゴタでは知人から紹介してもらった人の家に滞在するのだが、これまた半月以上メールの返信がなく少々不安だった。その予感は的中した。
パジャマ姿で出て来た若い女性は、私の突然の訪問に混乱しているようだった。あとで分かったのだが、私が連絡を取っていた知人のアドレスは大学のもので、今はお休みのため使われていなかったのだ。
彼女は旅行から帰ってきたばかりでひどく疲れており、子供と一緒にすぐに寝てしまった。空いている部屋はなく、ひとまず私はリビングのソファーで一晩寝させてもらった。
翌日、暫く使っていなかったインターネットを接続すると大量のメールが入っている。返信する時間を割いて、今日から滞在できる家を探した。するとたまたまボゴタに住んでいるエル・サルバドールの友達からメールが来た。あてにはしていなかったが、今の状況を伝えると、『うちの会社のボスが家に来てもいいって言ってるよ!』と返事が来た。
『道でタクシーとバスには絶対に乗らないように』と知人から何度も言われていたので、電話をかけタクシーで友達の働くオフィスへ向かった。
タクシーの運転手は重たい荷物を運ぶ私を横目で眺めるだけで、車から降りようともしなかった。
オフィスはカジェ97というオフィス街のような所にあった。コロンビアペソを持っていなかった私は、久しぶりに会った友達に早速お世話になってしまった。彼が働くSwiss Contactoでは約10人の従業員が働いている。
キューバから来たせいか、コロンビアで会う人達の表情はこころなしか暗く見えるのはきのせいだろうか。
今日から突然お世話になることになったルシアさんは友達の上司である。『全然問題ないわ!ちょっとそこで待ってて』
ルシアさんの仕事が終わると同時に家へ向かった。
自宅はBarrio Galerias(バリオ・ガレリアス)という町の中心部にあり、周りにはショッピングセンターがたくさん並んでいる。
久しぶりのスーパーやお店に、物が自由に手に入るのはすごいことだと思った。なんせキューバの最終日に家族のお母さんが吸っている煙草をプレゼントしようとして、約1時間アパートからアパートへ人伝いに売ってくれる人を探しまわったのだった。それがここでは簡単に手に入る。
家に着くと、息子の高校生のフアキン君と大学生のルイス君が歓迎してくれた。ルシアさんが通してくれた部屋はルイス君の部屋だった。
ルイス君は『僕はどこでも寝れるから、自由に使ってね』と言ってくれた。またもや弟のような彼らとすぐに打ち解け、コロンビアについて色々と教えてくれた。
ルシアさんは『コロンビア人は家族とか親戚とかの繋がりをとても大切にする人種なの。これから従兄弟と妹を紹介するわ。すぐ近くに住んでいるから』と言ってさっそく彼らの家を訪問させてもらった。
夕食はクッキーとコーヒーという簡単な物だった。コロンビアでは昼食をメインに取るようである。
夜9時には家族はそれぞれの部屋に入って就寝した。朝は毎日5時に起きるのだそうだ。今日から約1ヶ月の長いコロンビア滞在が始まる。
ERIKO