
最年少のカッシオ君、14歳
昨日フラメンゴ海岸に入り浸ったせいで、肌の色がブラジル色になってしまった。
以前、山から下りていたばかりの写真家の石川直樹さんから、『日焼けにはチョコラBBがいいよ』と言われてから、半信半疑にも飲み続けている。
泳いでいる途中、突然襲いかかってきた波にサングラスがのまれてしまった。もともとなかったと思えばたいしたことはない。
今日は、滞在している家の八重子さんが教師を務める日本語学校の生徒達が、『第11回東北伯スピーチコンテスト』に出場するということで一緒に同行させてもらった。
Biblioteca Central(中央図書館)の一室で行われたコンテストには、レシフェ、フォルタレザ、ナタール、リオグランデ、サルバドルより、日本語を学ぶ23人の生徒達が参加した。
驚いたことに参加者の中で日系人は1人だけで、他はみんなブラジル人。
発表するお題は、ブラジルでの変わった体験や、日本語を始めたきっかけにまつわる話、そして自分の夢についてが主だった。
緊張して張りつめた空気の中始まったコンテストの1番目の出場者はなんと遅刻。2番目の人はかなり焦ったに違いない。
朝から夕方まで続いたスピーチは審査結果に移り、それぞれのレベルのカテゴリーの順位と全体の順位発表が行われた。
優勝したのは16歳の高校生のアナ・クラウディアさんだった。
彼女が発表したテーマは、『子供の夢と親の理想』
彼女にはイラストレーターになりたいという夢があるが、彼女の両親は、『もっとまともな夢を持ちなさい』とか、『貧乏になるだけだ』という言葉を彼女に言い続けていた。その言葉にひどく落ち込んでいたが、ある日その言葉は、自分を心配している愛の言葉だということに気づき、感謝に変わったというもので、最後に『夢を持たせてください』と会場の大人達へメッセージを送った、素晴らしい内容だった。
大人になると、私たちは周囲の環境や人の意見に左右され、飛び出た個性を社会に削られるようにして自分を見失い、そして次第に疲れてくる。
でも本当は私たちはやりたいと思えば何でもできる。
勇気を出せば見られなかった世界と出会えるということを彼女にも忘れないでいて欲しい。
3位までの受賞者は、11月にマナウスで行われる全国大会に出場するそうだ。
近所の人達も加わって、賑やかなお祝いとなった。
私が彼らと知り合う先月も、私がいなくなる来月も、みんなでこうしてお祝いを続けていくのだろうと思うと、ここにいる偶然に感謝の気持ちでいっぱいだった。
ERIKO