サンパウロの家に戻って来た。あっという間のボイトゥバ滞在だったが、日系人ではないブラジル人達との生活は、ブラジルへの理解をより深めることができた。

 その中でも強く印象に残ったのは、日本と真逆の男女関係である。
ブラジルの女性達は外へ出て行くタイプが非常に多い。男性はそんな女性達を支えている。
友達や家族と集まって飲み食いする時は、男性が食事を準備して、女性はそっちのけでおしゃべりに没頭しお酒を飲み続ける。
なくなったら、『もうビールないんだけど?』の一声で、隅の方にこじんまりと座る男性達が、重い腰を起こして買い出しに出かける。
しかし、一端家に戻ればなんでもしてくれる旦那にあまり大きな口は聞かない。まるで女性達が男性の掌で転がされているようである。

 南米と一言で言っても、各国で全く文化や習慣が異なる。
こうして見てみると、男女の関係は社会や政治に大きく関与しているような気がする。
フェミニスタの多い国では、大統領が女性である場合が多いし、マチスモが強い国はほとんど男性である。色んな発見があった一週間だった。

 サンパウロまではバスで戻ることにした。お世話になったライスの両親や親戚に挨拶をして回った。
気を使わないブラジル人だが、最後の挨拶の時は誰もが、
Desculpa algumas coisas』(色々失礼があったらごめんなさい)と声をかけてきた。
ボイトゥバで知り合った人達はみんな本当に温かい人達だった。
3年振りに再会したライスとも、こんな形で一緒に過ごせるとは思ってもみなかった。いつかまたどこかで会えたらと切に思う。

 約1時間半でサンパウロに着き、地下鉄のカードをチャージする。
ブラジルのバスターミナルや外国人が多く利用する場所の案内表示は以外にもポルトガル語のみである。
チャージする機械の画面が全部理解できた今日はちょっとしたご褒美をもらったようで嬉しく、画面がとてもいいやつに思えた。

 今日は月曜日。毎週恒例のイビラプエラ公園でランニングをする日。
ここで走るのも最後になるだろう。
明日からはブラジルの北東、サルバドル・デ・バイーヤへ行く。

ERIKO