昨日まで自分とは関係ないかのごとく、ボイトゥバの空に浮かぶパラシュートたちを見つめていたが、
『ボイトゥバまで来てスカイダイビングしなかったら来た意味がない』と散々言われ続けたので、飛んでみることにした。

 ボイトゥバ市は、ブラジル国内一有名なスカイダイビングのメッカである。有名なダイバー達はほぼここに集結しており、スクールもたくさんある。
今回は
Queda Livre(ケダ・リブレ)という学校が行っている会社のスカイダイビングに挑戦する。
日曜の今日は晴天、まさに空を舞うのにもってこいの日である。

 受付のお姉さんは、私の顔を見るなり
『市長との面会の様子を見ましたよ!』と言って下さり、交渉の末、今回は特別な料金で案内してくれることとなった。

 一緒に飛んでくれるバディーは、ジマスさん。
本日はもうすでに3回飛んでいるという、ベテランインストラクターである。セスナから飛び降りる時や飛んだあとの格好や手の位置の確認をして、すぐにセスナに乗り込んだ。
イスなどはなく、12人くらいの人達が股と股の間にぎゅうぎゅうに座る。
 


                  飛ぶ瞬間


 セスナなほとんど揺れることなく落下ポイントの1200mに到着。
お店のシャッターのような窓が開き、次々と前の人達がダイブしていく。
かなりの速度で落ちていくのを見て、初めて自分もこれから落ちるんだという実感が湧いてきた。
『ちょっと待って!』とジマスに声を掛けようかと思ったが、ここでぐずってもどのみち落ちるのだからと思い、身を任せることにした。
残念ながら飛行機から落ちた直後の記憶はない。
気づいた時には、風の抵抗で体が見事に浮いていた。
パラシュートが開くまでの45秒、顔に風が当たり過ぎて息がちゃんとできなかった気がする。


500m
地点から緩やか飛行が始まった。
眼下には緑の丘と赤茶色の屋根の家々が広がっている。足下には地面がなくブラブラ浮いている。着地の衝撃もほとんどなく、あっと言う間の飛行だった。

 飛ぶ前は、想像を絶するような恐怖を感じるかと思ったが、実際には遊園地のジェットコースターの方がスリリングであると思う。
落ちるというイメージが強かったが、飛んだあとはすぐに風の抵抗で浮いていたので、止まっているような感じであった。

 これまで一度も事故はなく、週末は約2000人の人達がスカイダイビングを楽しんでいるという。ボイトゥバ最終日にしてやっとボイトゥバ市民の仲間入りを果たした。

協力:QuedaLivre Paraquedismo

ERIKO