
ライスの実家のおもちゃ屋さん
9/25
雨が降っている。体が太陽に当たらないと、眠気が取れない気がするのは気のせいか。
ライスの息子のジョアンはおとなしい。朝泣くこともなく、静かに目覚めていた。
ボイトゥバの町は、中心部の通りにお店が密集して立ち並んでいる。
1時間もあれば、町全部を見て回れそうなくらいコンパクトである。
ライスの従兄弟の家を訪ねると、近所の人達も集まっていて、とっても賑やかだった。
次から次へと色んな人と挨拶を交わしたが、ライスのおばあちゃんとおじいちゃんしかはっきりした関係が分からないほどの人数だった。
みんな仲が良く、傍から見たら家族なのか、近所の人なのか分からない。
エジマールは肌の色が浅黒く、髪は少しウェーブがかかっていて、アマゾンにいそうな男性だ。学校で地理の先生をしていて旅好きなのだそうだ。
ワニの檻に差し掛かったとき、突然雨が降って来たので戻ることにした。
天気が回復するまで従兄弟の家でポン・デ・ケイジョ(チーズの入ったモチモチパン)を食べて休憩した。
雨が上がったので、彼女が親戚の家の牧場を紹介してくれた。
車から見る景色はいくつもの丘が連なって、絵本を見ているようだった。
ボイトゥバの町を散策していくに連れ、ライスがブエノスアイレスの都会生活になじめなかった理由が分かってきた。
カオスのようなあの町は、彼女が築いてきたペースを崩してしまったのだろう。
親戚のグスターボさんの家には、馬、ヒツジ、七面鳥や牛などが飼われていた。屠殺などは行っておらず、趣味で飼っているのだそうだ。
私は庭になっていた赤い大粒のクランベリーのような実を夢中で食べた。
夜はライスの友達が遊びに来てくれた。精神科医、歯医者さん、みんなそれぞれの分野で働いている。
冷蔵庫からビールをどんどん出し、ガンガン飲んで、ワーッと話し、1時間ほどでみんな去って行った。
ブラジル人は良い意味で気を使い合わない。
来たくなったら来る、帰りたくなったら帰る、お互いにそれを受け入れる。というようにとてもシンプルである。
これまで訪れた南米の国との違いで驚いたのは、食事の仕方である。
ブラジルは、他の人が揃ってから食べるという習慣がない。
自分のが来たら、他の人が席に着いていなくても食べ出す。誰かが食べてる途中でも、自分が食べ終われば席を立つ。なんだか失礼な気もするが、そういう習慣なのである。
彼女の友達もまた来たくなったら来るだろう。
ERIKO