
2階建てのバスの上から
8/31
気がつけば今日で8月最終日である。南米はどこも冬だったので、なかなか8月という月を体感することがなかった。
クリティバの観光をしようと、おばあちゃんのルシアさんとガブリエラで観光バスに乗った。
市内の25カ所を回る、Linha Turismoは、計4回下車出来るチケットがついて27レアル。30分に1本バスが停留所に止まるシステムになっている。
天気も良く、気温も23℃とやや暑いくらいだった。
1カ所目はJardim Botanico(ボタニコ庭園)という、植物園を訪ねた。
隅々まで手入れが行き届いた芝生と花壇は、真冬とは思えないほど鮮やかな彩りだった。変わった形のドームの中は、2階建てになっており、背の高い植物やサボテンなどがたくさん植わっていた。
続いては、ラテンアメリカで一番の大きさを誇る、Museu Oscar Niemeyer(オスカー・ニューマイヤー美術館)。
ブラジル人の建築家、オスカー・ニューマイヤーによって設計、1976年に建築された、目の形をモチーフにした美術館である。
オスカーの建築は、世界遺産にも登録された首都ブラジリアの国会議事堂や、NYの国際連合本部など、“自由な曲線”が世界的に有名である。
入場料金は4レアルと、美術館のクオリティーと比べると安すぎるくらいだった。
オスカーのデッサンや作品、また個人的には、アメディア・モディリアーニの作品がたくさん見れたのは非常に価値のあるものだった。
次の場所へ移動するためバスを待っていたが、予定時間を大幅に過ぎても来る気配はなく、結局1時間後にようやく到着した。
バスを待つ観光客は全員ブラジル人で、誰一人としてイライラしている人はいなかった。待っている間も、声を掛け合ったりして楽しそうに話している。
イライラ待っても、楽しく待っても、同じ時が過ぎていくのだ。結果が同じなら、楽しんで過ごした方が心にとっては健康的であろう。
家に帰ると嬉しいことがあった。
アルゼンチンのブエノスアイレスでステイしていた家のマウリシオが、来週から日本語を習い始めるというのだ。
日系社会訪問などに一緒についてきてもらっていたせいか、日本に興味を持ち始めたようで、Centro Nikkei Argentinoで行っている日本語コースを受講すると連絡があった。
日本と中南米の心の架け橋を行いながら、それぞれの国の文化や習慣や人々の人生を伝えていくというこのプロジェクトの成果は、これまで接していた誰かの心の中にしかないかもしれない。
自分という人間が経験することを通して、一人でも多くの人が、“自分と違うもの”に心を与え、受け入れる隙間を作ってもらえることができればと思う。
『本当の旅の発見は新しい風景をみることではなく、新しい目をもつことにある』
と“失われた時を求めて”の著者、マルセル・プルーストは語っているが、旅に限らず、新しいことを知ることは、自ら構築した常識を壊していくことであり、受け入れる愛を持つことである。
私の場合は旅をすることでそれに直面するが、日常誰にでも起こりうることではないだろうか。
※パラグアイで出演したTele futuroのインタビューの映像が届きました。是非ご覧下さい。
Tele Futuro インタビュー
ERIKO